「小さなお話」応募作品 ⑫ 「ボクん家の節句」 作:新井俊一

テレビの声…

岩槻市の病院で性別のわからない赤ちゃんが生まれました。

これは前例のない初めての赤ちゃんとして、産婦人科学会の注目を集めています。

ぼくは わたしなのかもしれないし 、わたしは ぼくなのかもしれなくて、

でもでも 生まれたときから今までずっとテレビ局や新聞記者のおじさんに追いかけられてきた。

 

幼稚園も小学校も、なんか恥ずかしくて ずーっと休んだままなの。

戦いごっこもできるし、野球やサッカーもできる。

おままごともできるし、おはじきもビーズ手芸もできる。

おばァちゃん、お雛様も兜も欲しいの。 ぐ~ぐ~ぐ~ぐ~

 

お婆ちゃん: おやまぁ、この子は畳みでいびきかいて寝てるよ。 

この子は自分の性別で苦労したからね。

どうだい?そこの床の間にお雛様と兜を同時に飾ってみないかい?

お母さん:   いいですねぇ。 あなたはどう?

お父さん:   うん いいね。 かしわ餅と雛あられが一緒に食えるね 。あと白酒も…

お婆ちゃん:まったくおまえは、食べることにしか目がないんだから。

アッハッハッハ

その後十数年の間で性別のわからない赤ちゃんが増え続け、岩槻の雛人形と五月人形が飛ぶように売れたのだった。

 

選者のコメント

岩槻の人形屋さん、こんなふうに盛り返すんですか!?

だれも想像していなかった未来ですね!

時代はバリアフリー! 夢ではないかも?!

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