あなたの心にきっと届く 新鋭作家の紡ぎ出すポエム 詩人=大野弘紀

あなたの心にきっと届く新鋭作家の紡ぎ出すポエム
詩人=大野弘紀


 

「その木について」
~とまりぎによせて~

海原のような
草原の彼方

風がそよぐ
草の音が響き渡る

音色に耳を澄ませる
立ち尽くす一本の木

雲が青空を横切る
鳥の鳴き声がする

風が吹けば
木の葉が散るように 鳴る

旅人が一人
やってきて
腰を下ろして
言葉を歌う

出会った星の滴と
打たれた雨と
焦がれた朝陽を
詞にしよう

困難も喜びもすべて散りばめて

聴く人は誰もいない
その木のほかには

「その旅人について」
~その木によせて~

最初に見た夢を
追いかけるように

いつか願った
誰かの手を
探すように

人は旅を始めた

立ち止まることなく
過ぎ去る景色を
思い出にして

変わり続ける願いに
自分が分からなく
なりながら


見失った自分を
いつか出会った人が
教えてくれた

痛みを気づきにして
発見に胸を高鳴らせ
旅は続いていく

見つかっても
見つからなくても
この旅は楽しかった
そう言える人生を

旅人はその木に
寄りかかって
詩を 歌う

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