あなたの心に届けたい言葉「何度でも巡る春の訪れに寄せて」

あなたの心に届けたい言葉
詩人=大野弘紀
「何度でも巡る春の訪れに寄せて」

鳥鳥の羽根が落ちてきた
でもそれは
一枚の葉だった

落ちてきたから
思わず取ろうとして
――やめた

取ってしまったら
この手の中で
終わってしまうと
――思ったから

風が吹いたら
不思議と
――懐かしかった


駆け出したら
風が背中を押した
草が波のようで
海の上を
――走っているみたい

――そういえば……

日が落ちたら
暗くて
なにも見えないと
思っていた

でも夜は
真っ暗じゃなかった
星が瞬いていたから

光が
消えたんじゃなかった

 


いなくなれば
影しか残らないと
思っていた
時は戻らなくて
巡っていくものだった

……花びらが
目の前を通り過ぎて
――顔を上げた

花びらが
風に乗ってくる
川を流れるように

――そうだった
何度でも
春はやってくるんだ

大野弘紀の詩集『始まりの場所 終わりの場所』より

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