浦和美園地区のあたりを散歩していると、親子連れが「あの木、包帯を巻いてるよ。ケガしたのかな?」と見上げていた。その様子が愛らしくて、思わず立ち止まり「ホント、痛そうね」と声をかけた。
農作業をしていた増田清さんに聞いてみると「クロガネモチの木といって、秋から冬にかけてたわわに実る真っ赤な実は、冬枯れする季節に目を引きますよ」と話してくれた。
なぜ、布を巻いているのか。そう尋ねると「移植後の樹木のため、活力の低下で弱るのを防ぎ、幹やけを防止」するためだと説明してくれた。麻布は根巻きにも用いられ、しばらくすると土にかえるので、重宝するそうだ。
クロガネモチの木とは、関東以西の山林に自生する常緑高木だ。「苦労のない金持ち」を連想させるため縁起がよく、小さくてかわいい花も楽しめるので人気もある。
人はとにかく、縁起をかついだり、災いや魔除けと称して、神社でお祓いをしたりと忙しい。そんななか、樹も置くたちは名付けられたことすら我関せずで、超然として天にも昇る勢いで生長している。「剪定しながら見守りたい」と、増田さんは語っていた。
【増田啓子】
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