前回もふれましたが、子どもからのSOSに「こうすればよい。ああすればよい」などといえるたしかな答えはないと申し上げました。理由は、子ども一人一人に個性があるから。家庭環境、年齢によっても子どものSOSに対する対応方法が異なるからです。「ここが悪い」「ここを改善すれば問題は解決する」というほど簡単ではありません。これから申し上げることは、基本中の基本のお話です。子どもは「有能(コンピテンス)な存在である」という言葉を聞いたことがありませんか。「コミュニケーション力」「協調性」「向上心」「社会常識」「積極性」といった能力。さまざまな経験や体験を通して身につけることができる能力。他人との関わりの中で習得され、発揮される能力であることから「社会的能力」と呼ばれています。本来コンピテンスな存在であるはずの子どもが、何らかの原因で「社会的能力」が発揮できなくなった状態。これが子どもから親への「SOS」と考えてください。コンピテンスな子どもたちは、3歳児は3歳児の10歳児は10歳児、自らの個性に従って主体的に判断し行動しています。発達途上の子ども達です。時には失敗もします。しかし、だからと言って大人側の判断で、子どもの行動をコントロールして好いものでしょうか。日頃、子どもの好む刺激や嫌う刺激を操作して、大人の都合の良いような方向に持っていくことはしていませんか。俗に言うところの「アメとムチ」です。即効性はありますが、持続性がない。ときどき使う分には問題ありませんが、多用すると結局は失敗に終わる。もっとも避けたい方法ですね。親の言うことをよく聞く子どもがいい子だと思っている親は、子どもが自己主張すると否定的な態度をとることが多い。また、勉強ができることに価値を見出す親は、子どものテスト結果で一喜一憂する。子ども自身も敏感に反応する。このような親の態度が子どもの個性や主体性を失わせていることに気づいてください。端的に言えば、子どもが親へ「SOS」がしたくても出せない状況になっていないかということです。子どもの「SOS」にも段階があります。例えば、いじめにあって怪我をしてくる。身に危険が迫っています。一刻の猶予もありません。最近は、いじめがエスカレートして、犯罪行為にまで至るケースがあります。私が関わったケースです。複数の子どもが、一人の女の子を隠し撮りして悪口を書き連ね、一斉にラインで拡散した事案です。見ず知らずの人も見ます。立派な犯罪です。当事者は面白がってしたことです。罪悪感はありません。この事案は早い段階で解決しました。拡散した隠し撮りの写真は即刻消されました。当法人には様々な専門家が関わっています。この時もまず、友人である元児童相談所の職員に連絡をして指示を仰ぎました。彼と連携する中で早期解決に至りました。子どもからのSOSに如何に早く気づき適切に対応できるか。そのためには親が子どもに日々良い汗をかくこと。「良い汗のかき方、悪い汗のかき方」について次回はお話しします。【NPO法人親子ふれあい教育研究所 代表・藤野信行(元大学教授)心理学】
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