小学校の低学年には「生活科」という教科があります。これは一年生や二年生という発達が未分化な子供たちに特化した教科で、平成元年に誕生しました。国語や算数と同じく社会に出るために必要な基礎的な資質を身に付けるための教科ですが、特に「自立」を重視した教科となっています。この授業の様子は一見すると、遊んでいるようにしか見えません。秋には生活科の授業で子ども達は落ち葉を使って何やら作ったり、ドングリを材料にしてこまを作って遊んだりしています。これが勉強?と思われる方もいるでしょうが、子供たちはこの活動の過程で実に多くのことを学んでいるのです。コマづくりを例にとってみましょう。子供たちはコマを作っておしまいにすることはありません。そのコマを回して遊び始めます。そうすると当然のことながらうまくいきません。そこから工夫が始まるのです。そして少しでもうまくいくと友達との競い合いが始まります。更によく回す為にはどうしたらいいかと必死に考え、先生にコツを教わったり、友達のコマと比べたりしてこま作りの時間を共有しながら更に工夫を加えます。もちろん、先生のサポートはありますが、決して先回りすることはありません。子どもの主体性を大切にして自ら学ぶ力を育てているのです。このような生活科の授業はバンドの音作りとよく似ています。初めての曲をリハーサルする際は、曲のイメージをそれぞれのメンバーがもち、そのイメージをお互いに伝え合い、何度も練習しながら共有していきます。もちろん子ども同じく初めからうまくはいきません。音源を聞き比べたり、自分なりの解釈を試したりしてよりよい音楽を目指すのです。生活科とジャズは遊びながら学ぶことができる優れものなのです。【「共栄大学客員教授・岩槻Jazz 代表」今村信哉(Shinya Imamura) 】
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