2020年7月6日から九州に降った大雨で、福岡県の「大牟田市立みなと小」では学校の周りが冠水してしまいました。校長は生徒をこのまま帰宅させるのは危険と判断し、まだ校内に残っていた生徒22人を下校させず、体育館で一晩明かすことを決めました。避難所となった体育館には、住民80人も避難してきましたが、やがてその体育館も水没。生徒と住民は校舎の2階に避難し、備蓄してあった段ボールベッドで過ごし、翌7日に自衛隊に救出されました。胸まで迫る水の中、自宅が水没した市議会議員の一人は、自分のジェットスキーを使った救出活動を実践。自宅の庭にプカプカと浮かぶジェットスキーに乗り込むのがたいへん困難で、冷たい水の中で足がつり「あのときは死ぬかと思った」と語ってくれました。大牟田市の浸水家屋は約2800軒。1階の天井付近まで水没した家が多く、畳から家電製品、布団、衣類といった家財道具のすべてが、一晩でゴミとなってしまった住民がたくさんいました。高齢の住民も多く、水を吸って重くなった畳を家の外に運び出すことなど、とても無理でした。社会福祉協議会が設置するボランティアセンターもなかなか立ち上がらない中、前出の市議会議員の呼びかけで、近隣の建設業者や産廃業者がダンプやトラックで駆けつけてきました(全部無償のボランティアです)。若い従業員たちが、大人4人でようやく持ち上がる「水のしたたる畳」や、水を吸って開かなくなったタンスや布団をどんどん運び出しました。太牟田市が急遽開設した処理場にダンプが到着すると、ごみを積んだ市民の車で大渋滞が発生していて、ごみを受け取ってもらうまで2時間もかかりました。(その後、大牟田市が家具等を粉砕するための重機を導入して1時間待ちまで改善)じつはさいたま市にも、水害時には水没してしまって使えない避難所(学校)がたくさんあります。その学校の校長は、子供の命を守るために「みなと小」のような冷静な判断はできるのでしょうか?またその地域の住民は、その時どこに避難するか考えているのでしょうか?市議会議員のみなさんは、助けに駆けつけてくれる業者をどれくらいお持ちなのでしょうか?今、首都圏で災害が起きても、コロナの影響で外から助けに来てくれる人はいません。自分たちでなんとかするしかないのです。どうか明日は我が身と思って、考えていただきたいと思います。【さいたま市防災アドバイザー・加倉井誠】
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