普段から私たちは、生活をする中でさまざまな問題に向き合っています。例えば、夕食に何を食べるのか。どんな髪型にするのかといった「個人的な問題から、働きたくても体調が悪くて働けない。真面目に働いているのに生活費が足りないなど「社会的な問題として対応を迫られる問題もあります。また、「個人的な問題」として対応すべきと思われていることでも突如として「社会的な問題」として認識されることもあります。例えば、掛け算をなかなか覚えられない子どもがいたとしましょう。こうしたことは、家庭の努力不足で「個人的な問題」と思われがちですが、学力テストで多くの子どもに同じ傾向がみられた場合には「社会的な問題」とされます。そして、「社会的な問題」と認識されて初めて、公共によって解決方法が検討されます。では、どのようにして問題を解決するべき問題と認識するのでしょうか。今回と次回に分けて、問題発見から政策設計までの考え方の手法をご紹介したいと思います。
◎問題発見の定義政策上の問題とは、一般的に「社会で解決すべきと認識された問題」です。ただ、こうした「望まない状態」が自動的に「問題」になるわけではありません。なぜなら、誰かが気づかなければ、「問題とならないのです。身近な例を挙げて考えてみましょう。例えば、自宅の部屋が散らかっていたとします。一般的には「望ましくない状態」ですが、その住民が散らかっていると気づかなければ、片付けはされません。また、当事者が「望まない状態」と感じなければ、その住民にとって「問題」になりません。つまり、私たちは、社会の「望まない状態」を認識することから始めないといけません。ただ、何もないところから社会の「望まない状態を考えることは難しいです。では、いかに社会の特定の状況を「望まない状態」と認識するのでしょうか。大きく注目されるには、4つの要因が考えられます。
①重大事件の発生例えば、子どもへの体罰です。体罰は今でこそ社会問題とされますが、昔の学校現場や家庭では、日常的におこなわれていた可能性が高いです。痛ましい事件が発生して初めて社会問題と認識されました。②社会指標の変化例えば、空き家問題です。公的機関などが統計資料として数値化しているものが、今までの状態と違った数値になってきて、社会問題と認識されました。③専門家の分析これは、各分野の専門機関の調査で問題として定義づけられて報告書や論文で発表する場合になります。例えば、環境問題などがこれに該当します。④裁判の判決例えば、非嫡出子相続問題です。結婚していない男女の間に生まれた子どもへの相続割合が異なることは、憲法の定める「法の下の平等」に反するとして訴訟が起こりました。最高裁は、全員一致で民法の規定が憲法違反であると判決を下しました。
以上のように、4つの要因によって、特定の問題が注目されて、認識されることになります。しかし、このように注目されるまでには、メディアの存在が大きく影響します。メディアが取り扱わない、もしくは、取り扱ったが世間が注目しない場合には、行政の担当者のみが問題を把握して淡々と処理をすることになります。(次回は「政策設計の考え方」を紹介します)【さいたま市若者会議 代表・尾舘祐平】
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