1月号では、地下鉄7号線延伸について衆議院議員の村井英樹さんにインタビューした記事を掲載した。その際に別途資料をいただいたので、前回に引き続き、今月号ではより掘り下げてみたい。地下鉄7号線の延伸について、一番の壁となっていたのが、「採算性の壁」であった。それは、B/C(費用便益費)が1・0以上である事と、累積黒字転換年が30年以内であることだ。これをクリアしなければ、県や市がいくら頑張っても国から認可が下りないという40年来の課題であった。しかし、平成30年3月の試算では2パターンで事業認可基準を突破することができた。これは、重要なエポックであると私は認識している。では、実際にどういった試算がされていたかを調べてみた。地下鉄7号線延伸協議会有識者会議(2月22日)資料(別表)によると、ケース④とケース⑤の2パターンでクリアしていることが分かる。聞きなれない言葉もあるので、解説をすると、ケース①の「すう勢」とは、浦和美園地区の人口について、平成29年までの人口定着の実績値(住民基本台帳)、建築確認申請がされたもの及び保留地での建築など、確実視される人口の増加分を需要予測に反映させ試算したものである。ケース②以降の「沿線開発」とは、岩槻駅周辺地区、浦和美園駅周辺地区について、土地区画整理事業が進展した場合の人口推計を考慮している。それに加えて快速運転や埼玉スタジアム駅の常設化をすることで、今まで一番の壁としていた「採算性の壁」を突破した。村井さんが指摘するように実現までの課題はいくつもあるように思うが、この課題に取り組む段階まで進展していることは評価すべきである。あとは、実施計画に落とし込み、一刻も早く国へ事業の認可申請をすることを期待したい。また、さいたま市や埼玉県を動かすためにも岩槻を始めとする市民の皆さんが現状を知り、あきらめずに早期の延伸実現への雰囲気を醸成させることが大切であると思う。さらに、今年はオリンピック開催年でもあるため、この機を逃さないように私たち若者も岩槻の住民として盛り上げていきたい。2月3日にお昼のNHKで取り上げていたが、サッカーJ1の浦和レッズの関係者10人余りが県庁を訪れ、埼玉高速鉄道の延伸と新たな駅の設置を求める要望書を約2万3000人分の署名と一緒に手渡した。大野知事は「さまざまな立場の方と議論し、真摯に検討している。皆さんの思いはしっかり受け止めたので、アクセス向上に向けて考えていきたい」との発言内容を伝えていた。同日同様に清水さいたま市長にも手渡したとの事である。実際に風向きが変わってきており、地元岩槻の長年の悲願を実現できる最後の機会なのかもしれない。【さいたま市若者会議代表・尾舘祐平】
[今後の地下鉄7号線延伸に向けた課題]〇調査の課題 ・需要予測に対する最新データの反映(国勢調査等) ・大学病院、岩槻の交流施設完成後の旅客実績調査〇沿線開発の課題 ・ビルトアップ曲線に基づく人口増加の実現 ・中間駅周辺のまちづくりの施策の必要性〇埼スタ駅常設化への課題 ・埼スタ利用促進や周辺のまちづくりの進捗を考慮、検討 ・常設化によるランニングコストの調査〇快速運転への課題 ・相互直通運転実施鉄道事業者間の調整 ・通貨駅の沿線自治体や住民等の理解〇概算建設費への課題 ・建設費同行はB/C>1の値に直結するため、常に留意村井英樹さん作成の資料より
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