実家は江戸時代から300年続く岩槻区飯塚の農家で、11代目となる飯山翔平さん(33歳)は、大手小売店の法人営業の経験をしてから2021年に農業を引き継いだ。
飯山さんが経営する岩槻野菜工房は、主にホーレン草をハウスでの水栽培で大規模に行っている。
地元岩槻で作っている野菜は数多くあるのに、地域のスーパーの野菜売り場の棚には市場や仲買を経由したものが並んでいるのに疑問を感じてきたが、それが現在の流通の仕組みではある。
5歳と3歳の子育て中の父親として考えた時に、将来を担う子供たちには地元の安全な美味しい野菜を食べて欲しい。
その為には地元野菜を学校給食に使って欲しいと考えた。
さいたま市の給食は各学校内で調理する方式であり学校単位で決定権がある。
ならば可能性があるのではと、知人の繋がりを辿りながら色々な問題点を洗い出す事から始めた。
農家は単品の大量栽培が多いが、給食では多品目で生徒数に合わせて毎日朝の配達が必須となり、学校側は納品先農家ごとの毎年度の更新契約となる。
飯山さんは学校側と農家との個別契約の煩雑さを簡素化するために法人格「農BASE合同会社」を立上げた。
多品目の野菜提供には仲間を増やして栽培分担も必要になる。事務の簡素化には社会人営業での経験を活かして、提供できる農産物の事前提示や事前発注依頼等のネットやFAXで簡単に行える仕組みも作ってきた。
現在(12月末)では、区内公立小中学23校校の中で5校に地元野菜を毎日届けられるところまで広がってきている。
届けられる野菜は季節によって違いがでるが、今はホーレン草、小松菜、大根、人参、キャベツ、さつま芋などである。
「野菜が違うとこんなに給食の味が違うんだね」との担当栄養士さんの声が励みになる、と飯山さんは笑顔で話している。
届ける野菜を増やすために理解して協力してくれる農家や、消費する側の理解者も増やして行ければ、美味しく安全な食の地産地消が広がる筈である。
岩槻の地の利を生かした生産者も消費者もメリットのある新しい地産地消のネットワークを広げようと11代目の飯山さんは将来を見据えて現在奮闘中である。
【編集部・奥山】
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電話:080-3497-1236(飯山)
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