客観的に分かりづらい 感覚障害を知る

今回は、感覚障害をご紹介します。
運動麻痺はわかりやすいですが、感覚障害は、はたからはわかりにくいので、理解には想像力が必要かもしれません。
新型コロナウイルスが、味覚や嗅覚を損傷するようだという情報が流されたことは記憶に新しいかと思います。
この障害により、食事が味気なくなり、人生の楽しみがずいぶん損なわれてしまうようです。
また、視覚や聴覚は、高齢になるとほとんどの人が低下する経験をされるようで、想像がつきやすいのかと思います。
わかりにくいのは体性感覚の障害でしょうか。
体性感覚には、身体表面の皮膚で感じる表在感覚と、関節の中や筋肉で感じる深部感覚という2種があります。
表在感覚には、痛みやかゆみを感じる痛覚と、触れた感じをとらえる触覚と、温度を感じる温度覚があります。
これらは、ケガややけどを防ぐためにとても重要な機能です。
感覚が脱失(完全に感じられなくなること)してしまうことは、生命に直結する重大事項なのです。
私の友人は、けい髄損傷で四肢麻痺です。
焼き肉に行ったとき、まだお肉も届いていないのに、何かジュージュー音がする。
何だろうと思っていたら、自分の肘が鉄板に乗っていて、やけどしてしまったと話してくれました。
健常な感覚がある時には、絶対におこらない事故です。
鉄板に身体が触れば「熱いっ」と瞬時に離しますから。
表在感覚に障害が起こると、当たり前の防衛機能が働かないのです。
たいへんな障害です。
深部感覚は、自分の体がどのような状態にあるのか、位置や負荷を感じるものです。
みなさまは、目をつむっていて、右腕を他人に動かされ、それと同じように左腕も動かしてと言われれば、左腕を同じように動かすことができますよね?
深部感覚に低下があると、動かされたのはわかっても、どのくらい、どちらの方向に動いたのかはっきりと感じることができず、同じ運動の再生ができないことになります。
目で見れば、できますが(視覚が補ってくれるため)。
普段の生活で、いちいち自分の手足の位置を目でみて動かすことはありません。
見ていなくても、動かしたい方向へ適した距離で動かすことができるのは、この深部感覚が正しく位置を把握しているからです。
ですから、先にご紹介しました脳卒中などで、感覚に障害をうけると、運動がぎこちなくなるのです。
人間の身体はとても精密で、よくできています。
どうか、大切にお使いください。
【愛風・久毛】

「ながら食べ」ができるのは、位置感覚が正常に機能しているからです。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。


Warning: Undefined variable $user_ID in /home/c5894747/public_html/iwatuki.raunzi.com/wp-content/themes/opinion_raunzi/comments.php on line 159

無料イラスト素材【イラストAC】

アーカイブ

お勧め

ページ上部へ戻る