今回は日の出町の龍門寺にあるコウヤマキです。コウヤマキ科の雌雄同株の常緑高木で、山門を入って左手にある岩槻城主大岡忠光の墓のすぐ後ろに、墓を見守るように鎮座しています。環境省の定義では巨木は幹周り3メートル以上ですが、ここのコウヤマキは幹周り2・74メートルで巨木には含まれません。主木は地上5メートル付近で折れていますが、その直下の枝が太くなりほぼ直角に曲がって上に伸び、主木の代わりをしています。この力強い樹形と樹齢(240〜280年と推定)を考慮して、今回紹介することにしました。大岡忠光が没したのが1760年なので、今年は没後260年になります。このことから、コウヤマキは大岡忠光の埋葬か法要の時に植えられたものと思います。コウヤマキの名前の由来は、マキは漢字で「真木」と書き、まっすぐに伸びて優れた材木となる木を表し、和歌山県の高野山に多く生えていたため、と言われています。木曽五木や高野六木の一つに数えられ、丈夫で腐り難く水に強いなどの特性から、古代から高級な棺や水桶、橋杭などに使われています。高野山には、「禁植有利竹木」(利の有る竹木を植えることを禁ず)という、果樹、花、漆、竹などを勝手に植えることを禁じた厳格な規則がありました。このため、仏前に供える花の代わりが必要になり、花より丈夫で枯れ難く光沢のあるコウヤマキの葉を供えるようになったそうです。また、皇室には、身の回りの品々を区別する目印として、幼少時から「お印」を用いるしきたりがあり、コウヤマキが秋篠宮家の悠仁親王(ひさひとしんのう)のお印になっています。【森林インストラクター・桂幸一】
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