岩槻郷土資料館では、岩槻で行われる「まちかど雛めぐり」に合わせ、「張り子~リサイクルの郷土玩具」と題し三月二一日(火)まで市立博物館などに所蔵されている郷土玩具のうち、張り子の展示を行っています。今回は、その中から「五関の張り子」を紹介します。「五関の張り子」は、さいたま市の西南部桜区五関で昭和四〇年代まで作られていたものです。現在は、使われていた木型や道具類、人形や面などの張り子は、埼玉県立歴史と民俗の博物館やさいたま市立浦和博物館に収蔵されています。残された木型や張り子を見ていくと面が二〇種類もあり、面づくりが盛んに行われたようで、関東地方でも代表的な張り子面の産地であったといわれています。ダルマも盛んにつくられたといわれ、様々な大きさのダルマがあります。中にはおかめの顔をした姫だるまや赤・青・黄・緑・金色の五色に塗られた五色ダルマもつくられていました。張り子の人形では、三番叟、樽や千両箱などを背負うもの、恵比寿・大黒、虎などがあったようです。虎は木型を見るといくつかの大きさがありました。五関の張り子づくりの始まりについては、明らかではありませんが、萬治郎が初代であったと伝えられていいます。この萬治郎は村の名主なども務めた人物です。慶応三年(一八六七)の「五関村農間余業者書上」に「土人形職」「万次郎」とあり、元は、土人形を作っていたことも考えられます。また、木型の中に天神、獅子頭、鯛車、将軍馬、金太郎など。鴻巣の赤物と共通するようなものがあり、そちらとの関連性もうかがえるようです。金太郎の木型には「明治三年」年号を墨書しており、この時期にこうした人形作りが行われていたことも推測されます。今回の展示では三番叟、千両箱背負い、ダルマ背負いの三点の他、こうした人形や虎、面の木型なども展示しています。
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