岩槻郷土資料館だより79 企画展「—郷土玩具の主役‐ 土 人 形 」

岩槻郷土資料館では、二月二三日(金)から岩槻で行われる「まちかど雛めぐり」に合わせ、「土人形~郷土玩具の主役」と題し、二月二〇日(火)~三月二〇日(水)まで市立博物館などに所蔵されている郷土玩具のうち、土人形の展示を行います。
郷土玩具は身近な素材である紙、木、粘土を用いてつくられ、その土地の生活、風土、歴史、信仰などと大きく結びついてきました。こうした郷土玩具は日本各地に見ることができ、その素朴な姿は人々の郷愁を誘い、現在では観賞用としても親しまれるようになっています。
これまで、郷土資料館では、この「まちかど雛めぐり」の時期に、人形に関わる展示を行い、木を素材にした「こけし」、紙を素材にした「張り子」「だるま」の展示を行ってきましたが、今回は、土を素材とした「土人形」を取り上げ、展示していきます。

 

「土人形」は材料が入手しやすく、安価なため、全国各地にみることができます。京都の伏見人形をもとにして、全国に広がったものといわれています。江戸時代、藩主が藩の産業奨励のため職人を招き、行われたものもありましたが、瓦職人や陶工などの内職、農閑期の副業として作

られたものもあったようです。

型で粘土を成形し、七〇〇度ほどで焼いた後、膠を混ぜた胡粉を塗り、彩色していきます。その題材はひな祭りや端午の節句などの節句行事、歌舞伎や狂言、物語などからとられ、こうした信仰・伝統・行事などと結びつき、つくられたようです。勇壮な武者人形や色彩豊かな人形などがみられ、郷土玩具の主役といえるものでしょう。このような土人形作りは太平洋戦争後の大きな社会の変化などによって、廃絶したものもたくさんあるようです。
この機会に全国各地で作られた「土人形」をご覧いただき、

「土人形」のもつ魅力を堪能していただければと思います。なお、あわせて博物館収蔵の雛人形の展示も行いますので、ぜひ資料館に足を運び、ご覧ください。

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