店長ウメカゲの「今なの?!」 第44回 スタントマンの巻万代書店岩槻店店長 梅景邦孝
ボクの勤める万代書店は、マンガ倉庫、○○鑑定団、お宝中古市場などお店の屋号は違うのだが研修会や新店舗が出来た時の応援などを相互に行う系列のグループ店舗が全国に100店ほどある。ボク達のお店はどこも中小企業なので新卒で入社したなんて人はおらず、色々あってこの店に流れ着きアルバイトから入って店長へと上がって行っているので、まあ色々な経歴の人がいる。そんな中でも三重県にある店舗の店長T村さんの経歴が面白い。T村さんはボクよりも10歳は上なので、もう50歳にもなるのだが昔スタントマンをやっていた。T村さんはスタントマン時代の詳しい話を今の仕事で知り合った人にはあまりしないそうなのだが、ボクには色んな昔話をしてくれた。全国の店舗から店長 さん達が集まる研修会の飲み会で席が隣になった時に、ボクの耳が少し変形してるのを見て柔道でもやってたんですかと言う話になり、中学高校時代に柔道をやっていたが高校時代の先生に絞め技、関節技、抑え込みと寝技の練習ばかりさせられたが、ちょうどその頃に読んだ増田俊也の『なぜ木村政彦は力道山を殺さなかったのか』に書かれていた高専柔道の考え方に近いことを教わっていたという話をすると、T村さんも格闘技が好きらしく意気投合した。それから高専柔道と言えば少年マガジンで連載していた『コータローまかりとおる』というマンガの第二部『柔道編』でも描かれていましたねと言う話から、『コータローまかりとおる』の映画が1 980年代にあり、最近マンガが何でもカンでも実写化するけどあの頃も『シャコタンブギ』とか『名門多古西応援団』とかいっぱい映画化していますよねと話すと、T村さんが「実は僕、昔スタントマンをやっていてコータローも多古西も湘南爆走族もスタントで出てるんですよ」と話をしてくれた。ちょうどその時は『アメトーク』と言うテレビ番組で『ビーバップハイスクール』が取り上げられたあとだったので「ビーバップは?」と聞くと何本か出てますねと言うので一気にボクのテンションはあがった。しかしいきなり仲村トオルだ清水宏次朗だ小沢仁志だ中山美穂だの話を聞くのもミーハーで野暮だと思ったので、一番記憶に残っているシーンの話をした。そのシーンはシリーズ1作目で不良達が電車の中で喧嘩を始めて、不良の一人が走る電車の窓から外に投げ捨てられて川に落ちるシーンで、未だにトラウマになるくらい怖くて、地元の岩槻駅から東岩槻駅に行く電車でも丁度そのシーンと同じような色の鉄橋があり川を渡る度に誰かに落とされないか緊張するんだと話すと、T村さんはしばらく沈黙した後に「そのシーン僕なんです」と言ってきた。そしてそんなシーンの事を覚えてくれている人がいて嬉しいと感激してくれた。T村さんは自分がスタントを演じた映画やドラマは一切見ないそうで、理由は監督から「カット!OK!」の声が掛かれば自分の仕事は終わりで、実際に映画を見て自分が命を懸けて演じたシーンが編集で使われていないかもしれないから見ないとの事だ。スタントでも入水のシーンは非常に難しく、高飛び込み競技のように飛沫は少なければ少ないほど安全で、着水した時に大きな飛沫を上げるのは危険で全身ガタガタになるほど痛いという、『ビーバップハイスクール』のそのスタントシーンは自分でも満足いく出来で仲間達からも絶対に見ろと言われ、唯一観た自分が出演した映画だという。その後は普段誰にも話さないというスタンマン時代のアメリカに渡った話や、『ラストサムライ』トムクルーズの通訳をした話、『ゼブラーマン』の哀川翔の話、Vシネマだけで100回以上車にはねられてる話をしてくれた。ボクの無駄な知識が役立った珍しい機会であった。
この記事へのコメントはありません。
この記事へのトラックバックはありません。
Δ
Misty【ジャズ壱】
風信人の旅 プラス ~心に残った桜の風景~
トップページに戻る
移動済み情報記事一覧へ
Copyright © WEB ら・みやび 岩槻 All rights reserved.
この記事へのコメントはありません。