以前、知り合いの方に、犬との生活で何か悩みがあるかと尋ねたところ「ゴミ箱をあさるから怒ったんですけど噛みついてきて、その後も何度怒ってもゴミをあさるんです」とおっしゃっていました。知り合いに私は「ゴミ箱を犬が届かないところに置くか、ふた付きのペダルを踏むと開けられるタイプようなものに変えるのはいかがですか?」と答えしました。すると、その人は一瞬「え?」といった納得いかない表情を浮かべていました。きっとその方が聞きたかったことは「どのように叱ればその行動を止めるか」ということだったのでしょう。ただ、基本的に犬は怒らなければわからない、そして、犬には言うことを聞かせないといけないということはありません。大切なのはまず、犬がその行動をしない環境を作ること。そして、怒れば状況が変わるという人間側の意識も変えることです。その方に聞いてみると、怒るときはたいてい、犬の顔を両手で押さえ込んで顔を近づけていたそうです。そんなことをすれば噛まれるのは当たり前ですね。私たちが犬に対して気を配ってあげるのは、まず「いじられたくないものなどは犬の届かないところへ置く」ことです。言うことを聞いてくれないというのは、それだけでも改善できますし、今後噛まれて怪我をすることもないでしょう。まずは人間から歩み寄ってあげるために、犬への固定観念を変えることからはじめてみましょう。だんだんと理解するようになれば、状況はきっと良くなります。
◎連載終了のご挨拶 みなさま、こんにちは。ペットシッターのしゅなです。岩槻の地域情報誌「らうんじ」に約1年ほど記事を掲載させていただいておりましたが、このたび連載を終了させていただくことになりました。私の考えは、しつけや、トレーニングで犬を変えようとするのではなく、犬を尊重し、人間側の接し方や環境を整えて、犬のストレスをなくすというものです。初めは、一般的ではない考えを伝えることを怖く感じていましたが、犬との生活でなにか心に引っ掛かっている人に対して気づくきっかけになればと思い、書かせていただいていました。出回っているしつけ方法などの反対のことを伝えているので、この人は信用できないしこんな風に考えてるペットシッターには「頼みたくないなぁ」なんて思われるのではないかと不安もありました。私自身、犬を怒ってしつけるというのが当たり前のペットホテルで働いていた時に、心が痛くなり、犬に優しく接しながらも楽しく生活はできないのだろうか?と思い、川上さとえさんが考案した「PONOPONO犬育て」にたどり着きました。そして自立してペットシッターを始めました。ヨーロッパでの犬の接し方やアニマルライツに基づいているこの方法を知ったとき、私はこんな風に接することができたら人も犬も幸せだなぁとワクワクしました。約1年間、記事の執筆を続けさせていただいて思ったことは、無理にがんばってなにかを伝える必要はないということ。そして、いろんな考えの人がいて、いろんな接し方があって、それぞれ学びがあるのだから、周りを変えようとしなくてもいいということでした。反対意見の話を聞くのは自分が攻められているような気持ちにもなるし、みずから耳を傾ける利点も少ないとは思います。そして、どんなに人の話を聞いても、その人自身が「状況を変えたい!」と思わなければ変わらないということ。このような「気づき」のきっかけになり私自身の素晴らしい学びになりました。今回まで私の考えに興味を持ってお読みいただいた方、記事の編集など携わってくださった方々に感謝の気持ちでいっぱいです。改めまして、約1年間本当にありがとうございました。【ペットシッターしゅな・古川未央】
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