藤川公成氏がシベリア抑留の様子を『いろは加留多』として、昭和55年1月に記した、新旧2本を同じ頭文字のカルタを新(カラー)、旧(白黒)
の対比した形で連載しています。
紙面掲載への経緯は弊紙6 5 4と6 5 5号で既に掲載されていますので割愛します。
麻雀牌は白樺づく
虚無・殺伐・飢餓の中で、それぞれ何かの娯楽を求めて創意工夫がなされた。
花札・将棋・囲碁・・・そんなとき大工を志願していた北海道出身の今井勝義兵長が、コ
ツコツと麻雀牌づくりをはじめた。
薪の中の白樺を乾燥させ一組一三六個の牌が出来ると、私と荒木画伯が彫り彩り、炊事に頼んで牌の天ぷらにして貰った。翌年のメーデーにはソ連に賞品を出させ、四十数組の麻雀競技大にやった。
民主運動前夜の佳き日のこと。
マリアは隠れて生きてまします
宗教はアヘンなり、とレーニンは一切の宗教を追放した。
そして共産主義が神格化していった。ハルピンで見た丸いネギ玉のドームを持つ寺院はソ連にないと思ったし、キリストも完全に粛静されたと思っていた。頼まれて肖像画を描きに行った老将校の家で、私はハッキリと見たマリア様の像を。
消し炭砕いて下痢ぐすり
食糧の粗悪は健康を不安定にした。
栄養失調のきざしである。殆どの者が下痢に悩まされていたが、ソ連は病気としては認めなかった︒自主防衛のほかはない。「温石」といって石をよく焼いて、カイロ代りに抱いて寝
る者、よもぎらしい草を乾燥させもぐさにして灸をすえる者、それぞれ工夫をこらした。私は焚火のあとの消し炭を丹念に砕いて粉末にし、ノドをつまらせて服んだ。原始にかえったようによく効き戦友にもすすめた。
今日も又増食命を削るノルマ
ノルマを越えると若干の増食があった。健康で元気な者は必死に増食策にしがみついた。作業終了後暖い室内で食
べる戦友を、外の戦友は空腹と寒さで疲れで、足踏みしながら待たされた。増食は命を削る悪循環と気づいたときはO・K隊で弱りきった体を持てあましていた。誰も同情しなかった。
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