新型コロナウイルスをはじめとする感染症の予防には手洗いが何よりも大切だと言われますが、「手洗いの神様」と呼ばれる医学者がいたことをご存じでしょうか。彼の名は、ハンガリー出身の医師センメルヴェイス(1818〜1865・ゼンメルワイスとも呼ばれる)。当時、彼が勤務していたオーストリアのウィーン総合病院の産科では、産褥熱による妊婦の死亡率が10%にも達していました。まだ病原体としての細菌の存在も知られていなかったので、医師は死体を解剖したまま手も洗わずに妊産婦の治療にあたっていたのです。さらに、医師が着る服は白衣ではなく、汚れの目立たない黒いコートのようなもので、手術で汚れた手はその裾で拭っていたといいます。センメルヴェイスは、医師たちに手洗いを徹底させることにより、死亡率を引き下げることに成功します。しかしながら、「医師の手が汚れている」ことを認めたくない誇り高き医師たちに病院を追放されてしまうのです。1855年、故郷ハンガリーのブタペスト大学の産科教授に就任すると、産褥熱の死亡者ゼロを達成しますが、またしても迫害され失意のうちに47歳でこの世を去りました。消毒法が普及し、彼の学説が認められたのは、死後10年がたってからのことでした。その功績を讃えたブタペスト大学は、センメルヴェイス医科大学と名前を変えました。2018年11月14日、彼の生誕200年を記念して、渋谷の日本赤十字社医療センターに胸像が建てられました。その除幕式には皇后陛下もご臨席され執り行われました。新型コロナウイルスの感染予防に手洗いが大切なのはもちろんですが、災害時の避難所でも同様です。断水した場合に備えて、避難所や自治会ごとに、大量のアルコール消毒薬を今すぐ備蓄すべきではないでしょうか?【さいたま市防災アドバイザー・加倉井誠】
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