挑戦者 鈴木雄大⑳

ベースキャンプ。奥にはポーランド隊がトライした魅力的な未踏峰も見える

パキスタン遠征登山報告(3)

8/29 昨日は丸一日かけて、ベースキャンプから40分の距離しか進めなかったので、気持ちを切り替えてもう一つの氷河を詰めていく。
すぐにゴロゴロとした歩きにくい岩場の連続となり、標高と暑さも相まって疲れは増す。
誰も入った事ない氷河で、ワクワクしながら進んでいく。
7時間ほど歩き、5100メートル地点で、時間も昼過ぎ。
テント1つを奇跡的に置ける大皿のような大きな岩を見つけたので、ここで行動を打ち切った。

あたりに見えるハショーピーク2(モスクワ隊初登)もカッコいい山だなと思ったが、落石が多いのが気に掛かった。

8/30 6時起き、ゆっくり準備をして8時前に出発。今日は奥に見えているハショーピークの肩まで高所順化に行きたい。

壁が近続くにつれて、全容がよく分かるようになる。
5430mまで標高を上げ、落石などがない安心なテント地で一泊。
この標高では、着替えなどちょっとした動作をするだけで息が上がるが、高所順応の過程なので仕方ない。
これを行うことで、アタック本番は楽になるのだ。
寒い中シュラフで耐えて、翌日ベースキャンプまで下山する。

8/31 今日はベースまで長い距離を下山する。
7時に出発し、14時過ぎ、大きなテントのあるベースキャンプへ着いた。
5440mから4250mまで、一気に1200mを降り、物凄い疲労感と、少しの頭痛に悩まされるが、いつものことなので何の心配もない。
コックに出される美味しいけれども油っぽい料理を食べ過ぎないよう注意しながら食べる。
久しぶりに自宅のような分厚いマットレスと、温かい寝袋で快適に眠ることができた。この数日後、他の山の偵察にも出かけるが、ハショーピーク2にトライすることに決めた。
さて、登れるチャンスは来るのだろうか。
好天を待ちながら、暫くの間、ベースキャンプでリラックスすることにした。 (つづく)

(写真・鈴木雄大)

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