9/27、今日やっと、パキスタンの「ツイ2」という山のベースキャンプから降りてきました。
前回の連載時に書いた、卵200個や、野菜、15kgのパスタなどの大量の物資もすっかり無くなり、行きは300kgだった荷物も、帰りのキャラバンでは120kgまで減ってしまいました。
というのも、途中1週間ほどベースキャンプが大雪で閉ざされてしまい、9月だというのにテントの上には50センチもの雪が積もって行動不能の事態となりました。
しかし、わたし達は辛抱強く12日間テントで待ち続けて、来たる好天周期に備えました。そして、やっと訪れた唯一のチャンスで3泊4日の山頂アタックに出発しました。
日本で培ってきたアイスクライミングや岩登りの技術を沢山使って山頂を目指す内容で、“まさにこれだ!”という、やりたかったクライミングの山でした。壁全体の傾斜が凄く、1日目も2日目もハンモックに雪を積めて、その上に小型テントを張るという、アドベンチャー要素満載の登攀となりました。
おまけに、登頂時間は3日目、夜6時半となってしまい、6,500mの山頂での予期せぬテント泊も追加されてしまいました。
この標高での宿泊は、頭も痛くなり、吐き気も伴い、よく眠れないので辛いの一言です。
翌日、起きて雪から水を作って飲み干し、今度はロープを使って少しずつ、消防士のように降りて行きました。
未踏のルートなので、降りるのも大変で、岩の角にスリングと呼ばれる紐を引っ掛け、そこにロープを通して一回あたり60mずつ降りて行きます。
20回以上同じような先を繰り返し、平らな氷河に降り立ったのは夜の10時。
無事に成功したことと、やっと重力から解放され、二足歩行で歩けることからの安堵感、素晴らしい充実感のもと、ベースキャンプに戻ってこられました。
【クライマー・鈴木雄大】
価格:3980円 |
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。