「元旦の大きな揺れで、避難所となっているこの体育館に駆け込んだ。でもここには水も食料もなかった。
もう寒くてたまらず、自宅に戻って布団を持ってきた。
結局、その日は水も食料も何も届かなかった。翌日になって、ようやく市役所からアルファ米と水が届いたけど、お湯なんてないから水入れて1時間待って、芯が残った固くて冷たいアルファ米を飲み込むしかなかった。」
「この避難所もずっと断水でトイレが流せない。小便してもそのままだから、この体育館は臭いだろ?家が壊れていない人も、自宅のトイレが使えないから、ウンコするためにこの避難所に来る。
大便は流さないわけにいかないから、俺が近くの井戸から水をくんでいる。
18Lのポリタンクに井戸水入れて体育館まで運んで、そこから2Lのペットボトルに詰め替える。
一日中その作業の繰り返しだよ。
あんたもウンコしたいなら、このトイレでしてもいいよ。
まずペットボトル2本の水をタンクに入れて、それから一気に流すんだよ。」
「このコミュニティセンター(避難所)には、大きな貯水槽がある。
だから断水になってもしばらく水洗トイレが使えた。
すると自宅のトイレが使えない近所の人たちが押し掛けてきた。
あっという間に貯水槽の水はなくなり、トイレが使えなくなると、みんな家に帰った。
自衛隊が水を運んで貯水槽に入れてくれて、またトイレが使えるようになった。
また住民が押し寄せて、トイレは大行列。
そしたら、給水ポンプに負荷がかかりすぎたのが、ぶっ壊れやがった。ここには400人も被災者がいて、トイレ無しではどうしようもないので、仮設トイレの緊急要請をした。
だからここには、こんなに仮設トイレがあるんだよ。」
「仮設トイレはありがたいですよ。
使用後に少し水を流すからにおわないし。
でもその給水が大変。
あそこにプールがあるでしょ。
あれは仮設トイレ専用の水。
そこからバケツで水をトイレのタンクに入れる。
そのバケツがねえ、全部盗まれちゃったの。
近所の住民が盗んだんでしょうね。
新しいバケツは、支援物資。
『バケツがなくなって大変だ』ってSNSに書いたら、持ってきてくれたの。
今度は盗まれないように名前を書いたのよ。
トイレトレーラーは、広くてきれいでありがたいわ。
でも階段が年寄には危ない。
階段から落ちて怪我した人が、もう何人もいるの。なんとかならないかしら。」
これは石川県七尾市の避難所での聞き取りです。
七尾市までは道路も復旧しており断水以外の日常生活は再開されていました。
ただ、その断水によりどこのトイレも使えず、みなさん大変な思いをされていました。
私も朝霞市から送られてきたトイレトレーラーを自分で使ってみました。
階段には手すりが片側にしかないため、反対側によろけたら転落してしまいます。
また仮設トイレはすべて屋外にあるので、便器も冷えきっていました。
冷たい便座におしりを載せることができずに、中腰で用をたしました。
これはお年寄りにはきつそうです。
大きな地震や停電の後は、必ず断水します。
自宅に携帯トイレ(トイレ用凝固剤)を備蓄しておかないと、とんでもないことになります。
これと水と食料があれば、寒くて大変な避難所に行く必要はありません。
さいたま市立の小中学校には、マンホールトイレが設置してあります。
それ以外の避難所は、早急な対策が必要でしょう。
あなたの避難所は大丈夫ですか?
【さいたま市防災アドバイザー 加倉井誠】
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