昭和40年代ごろ、小学校の教師生活として一大行事となる「謝恩会」がありました。みなさんご存知かも分かりませんが、6歳の幼少期から大人っぽくなるほどに成長した12歳の卒業生たちが、6年間お世話になった教師、用務員さん、保健の先生、給食のおばさんたちに感謝を表す催しです。当日は生徒たちが、合唱・合奏・体育特技などで自分たちの成長を見てもらおうと、小学生ながらみずからの成長した証を披露してくれます。当時、教室で私が謝恩会の趣旨を説明すると生徒たちは「自分たちでやりたいから、いっさい手を出さないでほしい」と言いました。その言葉に安心した私は子供たちに任せることに決めて、当日を楽しみにしました。私が受け持っていたクラスの出し物は「世界一の宝物」という小芝居でした。そのお話は、次のようなものでした。
ある国の王様が、宝自慢大会を開き「世界一の宝物を決めよう!」と呼びかけます。……すると、大きな宝石や珍しい生き物、錦の織物等など、自慢のものがたくさん集まりました。しかし、中には偽物があったりして、王様の気持ちは満たされません。……やがて、最後に出てきたものは、腰の曲がった白髪の老人と、元気のいい数人の子供たちでした。……社会に貢献した老人、次代を担う子どもたちが世界一の宝物に決定しました……。
自分の教え子たちが謝恩会にふさわしい内容の台本を、自主的に自分たちの手で作り上げて、演じるまでに成長してくれたことへの感動を今でも鮮明に思い出します。その後「謝恩会」の行事は、子供たちの卒業や成長を祝う「巣立ちの会」などに名称を変えているようです。教室が足らずに寿司詰め状態で学んだ昭和の子供たちも今は壮齢期となり、現在問題になっている少子化など誰も考えていない時代だったのを思い出します。【谷倫】
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