来月には、「岩槻人形博物館」と「にぎわい交流館いわつき」の開館予定となっており、岩槻をさらに盛り上げたいという機運が高まっている。そんななか今回は、地下鉄7号線(埼玉高速鉄道)の岩槻延伸について衆議院議員の村井英樹さんにインタビューをおこなった。初めて耳にする読者に向けて簡単な概要を説明すると、現在、赤羽岩淵駅~浦和美園駅まで通っている地下鉄7号線を岩槻駅まで延伸しようという動きである。そして最終的に蓮田駅まで延伸が計画されている。地下鉄の延伸がおこなわれれば、利便性が向上するだけではなく、岩槻の地域活性化へ大きく寄与するインパクトのある事業である。村井さんには、現在の地下鉄延伸の取り巻く状況についてうかがうことにした。
尾舘:今回のテーマである地下鉄延伸のポイントとなっているところはどこでしょうか。
村井さん:主に二つポイントがあります。まず一つ目のポイントが採算性の壁です。言い換えると、岩槻延伸にかかるコストの元がとれないということ。これまで40年以上延伸が実現しなかったのはこのためです。しかし、2018年のさいたま市の有識者会議の試算では、採算性の確保が見込める数字がでました。具体的には費用便益費(B/C)が1以上であることと、採算性(累積黒字転換期までにかかる期間)が30年以内であることです。この壁は、国の認可基準の目安でもあることから、壁を突破したことは非常に大きな意味をもっています。二つ目のポイントは、地下鉄延伸にあたって現在ボールは、市と県にあるということです。すでに国の認可基準の目安である「採算性の壁」は突破済のため、次のステップとしては、市と県が詳細な建設・運行計画をたてた上で、国に認可申請を行うこととなります。認可申請をこの1・2年でやれるかどうかが勝負の分かれ目です。
尾舘:なぜ、今まで採算性の壁を突破することができなかったのですか。
村井さん: これまで採算性の計算の際に、いくつかの需要増・コスト減の要素を盛り込んでいなかったことが原因です。例えば、浦和美園地区に大規模な大学病院の誘致が決まっていますが、これまでは病院ができることに伴う需要増を見込んでいませんでした。この点、採算性計算のルールブックである「鉄道プロジェクトの評価手法マニュアル(国交省)」によれば、計画の実現性が高い場合は、将来の需要予測に盛り込んでよいとされており、今回の試算では、病院誘致に伴う需要増を盛り込んでもらうことができました。こうした項目を一つ一つ丹念に洗い出し、その結果が「採算性の壁」の突破につながりました。地道な努力が報われた思いでした。
尾舘:ちなみに、延伸するための費用についてはどうなっていますか。
村井さん:全体で約860億円かかる試算になっていますが、1/3は国が負担します。そして、1/3を事業主体が負担します。残りの1/3を市と県が負担することになります。ポイントは、市と県の負担割合ですが、先ほども申し上げた通り、採算性の壁は突破され、ボールは市と県にあるわけですが、市長・県知事はじめ行政の皆さんには、この負担割合も含めた詳細な建設・運行計画をつくるべく早急に検討を進めて頂きたいと思います。
尾舘:ここまで話をうかがって、すでに実現目前に迫っているということが分かりました。
村井さん:そうです。だからこそ、この勝負所で、市・県の皆さんには是非頑張って頂きたい。ただし、それだけではなく、早期実現に向けて岩槻の皆さんによる最後の一押しも必要です。当然ですが、地元の岩槻の皆さんが鉄道延伸に積極的に取り組む姿勢や盛り上がりが生まれなければ、実現できるものもできなくなる可能性があります。最近では、浦和レッズの皆さんにも延伸に向けた署名運動をご協力頂くなど、これまでの延伸運動に欠けていた、岩槻外からの延伸に向けた取り組みもスタートしています。こうした今だからこそ、岩槻の皆さんの最後の後押しが不可欠です。ちなみに、東京に向かって縦と横に鉄道が結節する地域は、間違いなく発展します。例えば、武蔵浦和駅や東川口駅を見てください。両駅周辺は、この10~20年で大きく発展しました。地下鉄延伸が実現し、東武アーバンパークラインと結節すれば、岩槻駅周辺も同じような発展が実現するはずです。地下鉄の岩槻延伸はこれまで長い期間「掛け声倒れ」に留まってきた経緯があるため、岩槻の皆さんの間に「どうせ今回も……」という気持ちがあるも理解しています。しかし、今、地下鉄延伸を取り巻く環境は大きく好転していることを是非ご理解頂き、延伸活動の輪に加わって頂けると嬉しいです【取材・文=さいたま市若者会議 代表・尾舘祐平】
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今月の言葉 【2020年1月】
編集後記 「村井議員インタビュー」
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