みなさんは「条例」と聞くと何を思い浮かべますか。条例は、自治体ごとに存在する規律やルールのようなものでその多くは堅苦しい内容となっています。規律やルールは私たちの生活を縛るものだと思う方もいるでしょう。たしかにそのような一面はあります。例えば、有名な条例では「路上喫煙の禁止条例」です。東京都千代田区が自治体として初めて制定して以来、全国に広がっていきました。この「路上喫煙の禁止条例」では、違反者に対して罰則(罰金など)が科されていて、その地域で起こした該当行為を厳しく取り締まっています。もちろん罰則を厳しくすれば、街を汚さぬように抑止し、近隣住民によい生活環境を提供できる効果もあります。条例が担う役割は大きいです。しかし、これまで携帯灰皿等を持参して適切に喫煙をしていた方々にとっては、喫煙できる場所が限定されて肩身が狭い思いをすることになったと思います。状況や立場に応じて異なる見解が出やすい条例ではありますが、なかにはユニークで誰しもが愛着を持ってしまうような条例も全国的に存在します。今回は、そうした条例を紹介したいと思います。
①「子ほめ条例」(鹿児島県志布志市) この条例では、日頃からボランティア活動に参加をしたり、親切な行動や挨拶をしている子どもを積極的に表彰したりして、地域ぐるみで子どもの成長に寄与していこうという内容になっています。さいたま市のような人口が多い自治体では難しく、この地域ならではです。挨拶のような何気ない行動から褒めてもらえると子どもはうれしいだろうと思いました。地域全体で子どもを大切にしていく姿勢が素敵です。
②「梅干しでおにぎり条例」(和歌山県みなべ町)全国有数の梅産地である和歌山県みなべ町で、梅干しのおにぎりを推奨するこの条例。最近、食卓にのぼることが少なくなった梅干しを改めて広めることを目的にして制定がされました。条例制定後には、年に一度、「梅の日」を設けて学校給食の場で梅干しおにぎりを子どもたちが自身でにぎって食べるという機会をつくりました。それ以外にも梅干しを使った献立を提供する等、食育を通して地域の魅力を伝えています。
③「りんごまるかじり条例」(青森県板柳町)りんごの生産が盛んな青森県ならではの条例です。正式名称は「りんごの生産における安全性の確保と生産者情報の管理によるりんごの普及促進を図る条例」となっています。制定前に、一部の農家が発がん性のある無登録農薬を知らずにりんご栽培に使ってしまい、青森のりんご市場が大打撃を受けていました。そこから消費者の信頼を取り戻すべく、町全体で条例を制定しながらりんごの安全管理の体制を再確立していく内容となっていました。
地域の特色を最大限に生かしたユニークな条例が数多く存在しています。ただ、このような条例はじかに住民の生活環境へ影響を及ぼすものではありません。また、この種の条例ではあくまで「頑張ろう」という主旨で数値目標のないケースが目立ちます。そのため効果の検証が難しく、条例として制定する意義を問う声もあります。しかし、ユニークな条例で理念が掲げられていることで自信の住む街に愛着や誇りを持つきっかけにつながると私は考えています。さらに、条例化により、その後廃止されない限りは未来永劫残り続け、地域の共通理念として生きることになるとポジティブに捉えています。私たちが住むさいたま市でも条例ではありませんが、市制施行20周年を記念して「さいたま市民憲章」が昨年に制定されました。興味を持った方は調べてみてください。【尾舘祐平】
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