歌舞伎と特撮ヒーローに見る「名乗り」の歴史

2022年6月の日本経済新聞で「トクサツは日本の伝統文化である」という興味深い記事が取り上げられた。
その題名の通り、ここ十数年の間に日本の特撮は日本の文化として世界に広がりつつある。

「伝統文化」というのには違和感を覚える人もいるかもしれない。
実は特撮ヒーロー作品は古くからの日本の伝統芸能である歌舞伎などの手法を用いた表現方法が多く取り入れられている。

今回はその中でも「名乗り」について考えてみたいと思う。

特撮ヒーローが登場する時のお決まりである「名乗り」。
その歴史は平安時代後期まで遡る。
『平家物語』には平家側が源氏側を倒した際に勝ち名乗りをあげたなど、多くの名乗りが描かれている。
そこにもあるように武士が戦場で味方の士気をあげたり、相手の士気を挫いたりするために使った。
そこから歌舞伎や能楽、時代劇など、日本の創作物の中には決まって「名乗り」が使われている。

歌舞伎の『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』、通称『白浪五人男(しらなみごにんおとこ)』と『秘密戦隊ゴレンジャー』の「名乗り」が比較されることは多い。
白浪とは盗賊のこと。
石川五右衛門や鼠小僧次郎吉と並んで、「白浪物」を代表する歌舞伎の人気演目だ。
『稲瀬川勢揃いの場(いなせがわせいぞろいのば)』で盗賊五人が並んで一人ずつ「名乗り」をあげる場面が特に有名で、数多く上演されている。
当時のプロデューサーである平山亨はこの場面をもとにゴレンジャーの「名乗り」を作ったと語っている。これは時代劇を多く撮影してきた東映だから、とも言えるかもしれない。

このように特撮ヒーローは日本の伝統芸能や伝統文化を脈々と受け継いできている。

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