調理と言いましても、カリスマ家政婦のように料理のプロではありませんから実際の支援の様子を書いてみます。
私の知人、料理上手の主婦ですが、有名なレストランのシェフと結婚しました。
旦那様、家でも料理してくれるの?
と聞きましたら、「全然よ! 仕事で料理していると家ではやりたくないみたい」とのこと。
その彼女曰く、「プロの料理はね、同じ味を再現することが仕事なの。
でもね、家庭の料理は毎日違うからいいの、飽きないのよ。」と、そんな視点で考えたことなかったのでとても感心したことを思い出しました。
ヘルパーの行う調理代行は、まさしくその家庭料理です。
何を作るかまでまるっきりヘルパーにお任せで、冷蔵庫にあるものを適当に使って一食分作って、という依頼をされる人も居ます。
何を作るかはご自身で決めて、調理の仕方などはお任せという方もいます。
調理の仕方、野菜の切り方、手順、味付けなどまで、事細かに指示される方も居ます。
味付けだけは自分でするとか。
一言で調理代行と言っても、何をどのくらい手伝うかはその人の希望に合わせるのです。
けんちん汁を作るとしましょう。
野菜の切り方だってその家庭によって異なります。
いちょう切りなのか、短冊切りなのか、乱切りか。
私が私用に作るならば、まずゴボウをささがきにして、油で香りが出るまで炒めて、それから短冊切りの大根と人参を入れ、火が通ったら、水と里芋を入れて出汁を入れて煮ます。
タンパク質としては油揚げを入れます。
最後にお醤油で味付けです。
腎臓の悪い人は、カリウムを減らさないといけませんから、野菜を一度煮こぼしてから調理に使う必要がありますし、減塩しないとならないから出汁をたっぷり入れて、という人も居ます。
訪問介護のヘルパーは、そういう個別の事情、好み、やり方を知っていて、その人が本当にしてほしいことを、してほしいように代行するという、難しい仕事なのです。
料理を担ってきた人の、自尊心、家族の中での主婦という役割、そういうもの、人が生きていく時にとても大切だと思うのです。
訪問介護の奥の深さです。
【愛風・久毛】
訪問介護で「できること」「できないこと」 イラストと事例でわかる! あいまいゾーン (へるぱるブックス) [ 能本 守康 ] 価格:3080円 |
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。