近年、環境対策として「カーボンニュートラル」という言葉が注目されているのをご存じでしょうか。カタカナ用語であまり意味が分からない方も多いと思います。実際、私もカーボンニュートラルという言葉を初めて聞いたときに何をするのか分かりませんでした。今回は、カーボンニュートラルを解説し、さらに、さいたま市にどんな影響があるのかを考えてみたいと思います。
カーボンニュートラル なぜ必要とされる?
まず、「カーボンニュートラル(=ゼロカーボン)」とは、直訳すると「炭素中立」です。もう少し意味が分かるように直すと「温室効果ガスの排出を実質的にゼロにする」ことです。ここでいう温室効果ガスは、二酸化炭素をはじめ6種類のガスを指します。私たちが吐き出すガスと同じ量を森林が吸収し、人為的に除去すれば排出量が差し引きゼロになるとされています。
カーボンニュートラルを目指せば、地球温暖化や気候変動の防止も期待できます。もちろん、地球温暖化にはさまざまな議論があり、なかには「太陽活動の波の一つ」と唱える人もいまし、むしろ長い期間でみたら「寒冷化している」と唱える人もいます。ただ、世界的には、人間活動に起因して「気温の上昇が引き起こされている」という説が一般論です。そして、このような世界でカーボンニュートラルを目指さない場合は、大きな障害が立ちはだかることになります。国家レベルでは、外交や貿易で評価の指標となりつつあります。企業レベルでは、環境や社会などに配慮した企業に投資していくというESG投資が進んでいます。支持されないと企業価値が伸びづらくなり、環境対策を行わない企業に対して課税をおこなう国家もあるため、企業の営利活動が難しくなりつつある現状もあります。個人レベルでは、レジ袋有料化などが分かりやすいかもしれません。レジ袋有料化の是非はあるにせよ、個人の脱炭素化を進める上での手段にはなりえます。こうした世界の傾向から、環境を意識しないで生活することはどのような立場でも少ながらず損をしていくことにつながっているのが現状です。
さいたま市が目指す「ゼロカーボンシティ」
さいたま市は、令和2年に「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ(ゼロカーボンシティ)」を目指すという表明を環境省へ出しました。環境対策に配慮したまちづくりが進められることになります。なお、埼玉県ではさいたま市以外で25の自治体が表明しています(2022年3月現在)。
実際に22年度の予算では、電気自動車普及施策であるE-KIZUNA Projectのグローバルサミットの開催などに対して1億4100万円の予算を見込んでいます。また、浦和美園地域では、スマートシティさいたまモデルの実現に向けて街区内(戸建て51戸)の全戸に太陽光パネルを設置し、地域内で電力が循環していくエネルギーの地産地消を進めています。このようにさいたま市でも少しずつカーボンニュートラルに向けて歩んでいることがうかがえます。さらに、今季には環境省の脱炭素先行地域の第一回応募に向けて動いていると2月議会で副市長より答弁がありました。すでに全国から102の自治体から79カ所の応募があったと環境省の大臣発表もあり、今春にも選定先が確定するとされています。そのため、今後さいたま市も脱炭素先行地域に指定されれば、環境関連の様々なビジネスが市内で活発になることが予想されます。
さいたま市が進めるゴミ処理場事業
岩槻インターチェンジから車で10分。新たに整備するごみ処理場「サーマルエネルギーセンター」(別枠参照)は、さいたま市による施策の一つです。さいたま市が脱炭素先行地域に指定されるために重要とされています。すでに工事が開始されていて、運営開始は、令和7年度を予定しています。新たに整備する背景には、既存のゴミ処理施設の老朽化があります。また、新たに整備するにあたり、既存の東部と西部のごみ処理場を統廃合することになります。そのため、一施設の処理能力が従来よりも高く、環境負荷を抑えた施設となっています。具体的には、焼却の際に生じた熱で発電をおこなうことで、資源の有効活用を目指します。 最後に、現在は人口増加を続けるさいたま市ですが、近い将来に人口減少に転じる見込みとなっているため、公共施設の統廃合や複合化、効率化を目指していくことが急務となっていくのではないかと思います。加えて、今回のテーマであるカーボンニュートラルの施策に向けて、環境負荷を軽減させていく技術力の進歩に期待がかかります。【尾舘祐平】
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