認知症患者と向き合う 「あたたかい人達、そして場所」

「おばあちゃま、いってらっしゃい!」
デイサービスの車に向かって笑顔で送り出すお嫁さん。
ハルさん(仮名)もうれしそう。
「素敵なご家族ですね。おばあちゃまって呼ばれているのですか。」
と、声をかけると、
「そんなわけないでしょ、普段は、“ばーさん”とか“ばーさま“だよ!」
吹き出してしまいました。
何故ならハルさんは、いかにも昔話に出てくる“ばーさま”らしいから。
本当にいつも冗談ばかりの嫁姑で、一緒にいるとこちらまで楽しくなります。
ハルさんは、食事中、まず自分のお膳に手をつけず私のデザートから食べてしまいます。
目はキラキラのいたずらっ子。
体操の時間は聞こえないふり。
でも、「今日の献立は…」と話すとしっかり聞こえています。
昼寝の時は、隣りのベッドで寝ている人のタオルケットをたぐり寄せて取ってしまう。
「何すんだよ、このばーさま!!」と、文句を言うほうも本気で怒っているわけでもなく、ハルさんとのやり取りを楽しんでいるようです。
ハルさんのいたずらには、悪意がない、危険がない。だから許されるのです。
ハルさんは、施設で最高齢の大先輩。
利用者にとっても介護者にとっても理想の将来像。
こんなふうに楽しく年齢を重ねられたらいいねと、今日もたくさんの人から温かく見守られています。
【ハミングバード】

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