認知症患者と向き合う 「北風と太陽」

らうんじ【岩槻】特別編集ページtamakoti

ゆったりとくつろいでいた穏やかな介護施設の昼下がり。
「タケさんが、外でほうきを持って暴れている!!」
休憩中の介護士さんが、屋外にいるタケさんを発見。
私が窓の外を見たときには、タケさんが男性の介護スタッフをほうきでたたいていました。
外は曇り空、雪でも降り出しそうな寒い日でした。
男性スタッフは急いでタケさんを室内に戻そうと慌てています。
手をひいて玄関に向かおうとしますが、力いっぱい抵抗しているタケさんも必死です。
その様子を見ていた年配の介護士さんが、自分の上着を持って飛び出して行きました。
そしてフワッとその上着をタケさんの肩にかけたのです。
背中をさすりながら、話かけます。
「庭のお掃除ありがとうございます。もうきれいになったし、外は寒いのでお部屋に入りましょう。」
タケさんは、フッと力が抜けたような顔になりましたが、全力で意地を張っていたので、すぐには動くことができません。
寒い中、年配の介護スタッフは薄着のままタケさんの背中をさすり、手を握って温めたりしています。
やがて、ゆっくりと玄関まで戻ってきました。
北風のように力強く素早く安全で暖かい部屋に連れ戻すか、冬の太陽のようにゆっくりとあたたかい声をかけて部屋に連れ戻すか…時と場合によりどちらも正解な対応になりますが、今回は太陽の圧勝。
その後、3人とも風邪をひくこともなく元気です。
そして、タケさんは何事もなかったように、今日も男性スタッフと笑い合っています。
【ハミングバード】

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