障害のある人を支える

 読者様から、訪問介護について書いてほしいと依頼を受けました。

私が現在、訪問介護事業所の運営をしているからだと思います。

ニュースなどで流れておりますので、多くの方がご存じだと思いますが、介護保険下での訪問介護の保険点数は下げられまして、当方もてんてこまいしています。

私がこの問題をとりあげると、どうしても愚痴になってしまいそうで、どのような切り口でまとめるか思案しました。

私が聞いた利用者様の想いという方向からまとめてみます。

まず、私は、作業療法士ですので、病院でのリハビリテーション技術を提供する専門職としての教育を受けました。

その際に、人がその人らしく生きていくために、身辺のことは自分でできるというのが、自尊心の維持に重要な位置を占めるという観点から、食事や排せつ、起居起立移動などの基本的動作を、最初に回復できるように練習することは大切と学びます。

高齢になった母親の介護をずっとしてきた娘さんから、晩年それまでなんとか行けていたトイレにいよいよ行けなくなって、「もう介助するのは無理よ。おむつつけるから、ここでしてね」と、説明したら翌日他界したんです。

よほど嫌だったんだと思います。

という話を聞いたことがあります。

おむつを使わないことが、最後の尊厳と思っていらっしゃる方は少なくないようです。

一方で、下着や靴下など着るのに自分でもできるけれど一人でやろうとすると1時間くらいかかってしまう。

それを介助してもらえれば5分で済むのだから、自分はそこは介助を受けて残りの55分で仕事のパソコン業務をしたいとおっしゃる方もいます。

こんな話もあります。

失調症という運動機能障害が残った方で、歩こうとするとよろめきが大きくたびたび転倒してしまいます。

療法士から見ると危険がいっぱい。

よって、すぐに支える場所が無い屋外を移動するのは車いすにしましょうと提案します。

けれども、その人は「転んでも怪我しても自分の足で歩きたいんだ」とおっしゃり、車いすは拒否。

たびたび転ぶし、這って移動せざるをえないこともありましたが独歩を貫きました。

介護するとか、機能訓練をするとか、障害のある人を支える支え方は色々あります。

でも、何をどのようにしてほしいかを決めるのはご本人だと思うのです。

周りは提案できますが、何を使うかはご本人が決めること。

今は色々な支援がある時代になりました。

次回より、どのような支援があるのかご紹介したいと思います。

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