自宅で生活することと、施設で生活することは、何が違うのでしょうか。
人は誰でも、年をとりますし、怪我もしないし病気にもならないという人も居ません。
完治するタイプの怪我や病であれば、一時的な不自由でも元の生活に戻れます。
医療の進歩で命は長らえるようになりはしましたが、脳卒中などおこせば後遺症は残ります。
元の生活に戻れない場合もあるということです。
歩行に不自由がある場合、環境による影響は大きいです。
平らなところは歩きやすいですが、日本の伝統的家屋には、こまごまとした段差がありますので、そのほんの少しの段差につまづくようなことがあり得るからです。
例えばそういう点からも、自宅と施設は違います。
施設はいわば、保護的に整備された生活空間とでもいいましょうか。
車椅子でも、ベッド脇からトイレやお風呂まで、どこにつかえることもなく移動できるような設計になっています。
自宅の洗面所では、車いすで行くと、足があたって蛇口に手が届かない、ということがあっても、施設ならば足がすっと洗面台の下に入って、手も届きやすい。
また、施設には、夜間でも仕事として、呼びかけに応じられるように待機している職員が居ます。
自宅で、特に独居だと夜間の体調不良などがあった時、自分が動けなければSOSを出すこともできません。
安全、安心というところでは自宅より施設が勝るでしょう。
でも、自宅ですごしたいと望む人は多い。
それはひとえに、自分だけの空間で自分だけの時間をすごすことができる最も気が休まる場所なのかもしれません。
訪問型の支援は、その自宅での生活を支えるものです。
家でどのように生活したいか、家の中をどのような状態にしておきたいか、それらは本当にひとそれぞれです。
訪問介護は、ヘルパーがその方の家に訪れて行う支援です。
お風呂に入るのに一人では不安だから、手伝ってほしいという方も居れば、家の中のことはなんとかできるけれど、スーパーまで買い物に行くのは、足が弱くなって難しいから、買物代行をしてほしい。
味付けは自分好みにしたいけど、体力が落ちて全行程を自分がやるのは難しいから、野菜の下ごしらえのところを手伝ってほしい、などなど。
その人が、その人らしく生きていくために、少し手伝ってほしいところ、そこを支えるのが訪問介護です。
千差万別。家屋の構造も、置かれている家具も、備えられている道具も、すべて違います。
一つとして同じものはありません。
おむつ交換をするような介護のイメージはしやすいでしょうが、訪問介護の幅はもっと広く、生活そのものの支援なのです。
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