「西の川越、東の岩槻」 ~鉄道インフラの整備によりエリア全体の発展を期す~

埼玉高速鉄道(株)荻野洋社長が2022年10月1日発行「埼玉りそな経済情報2022年10月号(発行:(株)埼玉りそな銀行、企画・編集:(公財)埼玉りそな産業経済振興財団)」に寄稿された地下鉄7号線の延伸や岩槻の活性化に関する内容について、本紙にも寄稿いただきましたので掲載いたします。

埼玉高速鉄道は2015年実施のADRにより、事業再生されました。
多くの債権者、株主の皆様のご協力あってのことと、改めてお礼を申し上げます。
ご利用されるお客様数も増加し、黒字経営を継続しております。
お陰様で、安全投資は無論のこと、将来に向けての投資も可能になりました。
編成両数(現在6両編成)の8両化に向けた信号機やホームドアなどのインフラ工事も終了し、8両編成車両の導入も計画中です。
来年3月の東急線日吉~新横浜間の開通にあわせ、当社への相模鉄道の乗り入れも始まります。
また、東京メトロ南北線が品川まで延伸(白金高輪~品川間2・5km)することが決定し、当社も品川まで乗り入れることが想定され、当社及び沿線のイメージも大きく変わります。
鉄道の特性は、人の流れを作り出し、沿線開発を促進し、経済の活性化を地域にもたらす典型的な社会インフラです。
去年開業20周年を迎え、この間の沿線地域にもたらした経済効果は、開発状況を見ればその大きさがわかります。
大都市近郊においては、地域開発と鉄道は機能的に車の両輪なのです。
大野知事の「あと数マイルプロジェクト」は、利便性とともに地域の発展を具現化するものです。
当社の課題は、この「プロジェクト」の中の一つ、「岩槻延伸」であり、実現の可能性の最も大きなプロジェクトだと思います。
1968年、地下鉄7号線計画が運輸大臣(当時)に答申されて以来、延々と「答申」や「先行区間の位置づけ」、「検討委員会の報告」「方向性発表」などが繰り返され、2016年の交通政策審議会答申、2018年の延伸協議会の報告書と続き、さいたま市を主体とした「実務者協議」が3年も続きました。
今まで、B/C(費用・便益分析)が1を超えるか超えないのかの議論に終始してきましたが、そもそもB/Cは鉄道事業者の採算性を検証するものであって、岩槻延伸という開発行為は、地域全体に及ぼす経済効果や社会インフラとしての機能をもっと大きな視点で検証すべきと主張してきました。
2005年に施行された「都市鉄道利便増進法(受益活用形の上下分離方式による)」は、プロジェクトにおける鉄道事業の採算性に画期的効果をもたらし、「大きなマーケットである東京」からの誘客と、「インバウンド旅客」を考慮すれば採算性は全く問題ないと考えます。
また「岩槻延伸」には、新たな「結節点」ができるというメリットもあり、お客様の流動の「多様性」をもたらします。
岩槻城や時の鐘といった歴史的財産や、今も地域に根ざす多くのお祭りに鉄道で人を呼び込み、 街を活性化することによる経済的効果は計り知れないくらい大きく、それがさいたま市全体に及ぼす効果も大きいと思います。
「西の川越」は年間の観光入込客数が700万人超と言われている一方、「東の岩槻」は、年間50万人なのです。
もっと多くの人を呼び込む力が岩槻にはあると思います。
もう一つ着目すべきは、「玄奘三蔵法師の本物のお墓」が岩槻の慈恩寺にあることです。
なぜここにあるかは割愛しますが、日本仏教の祖とも言える方のお墓がこの地にあるということこそ、世界に発信すべき「岩槻」ブランドです。
岩槻延伸を希求するとともに、地域とともに発展する、地域に選ばれる鉄道としてあり続けます。

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