岩槻郷土資料館では、昨年度寄贈を受けた「岩槻古城八景」の公開を令和五年九月一六日(土)~一〇月二二日(日)まで行います。
昨年一一月の発行されたこの「みやび」643号ですでにこの寄贈を受けた「岩槻古城八景」については紹介したもので、今年六月に市立博物館で燻蒸を行い、今回、公開することとなりました。
この「岩槻古城八景」二双の屏風仕立てになっていたもので、屏風の大きさはいずれも縦一七〇・二㎝、横八三.七㎝です。現状で二つの屏風は分かれた状況になっています。全体にしみが残り、「茶屋臺暮雪」の右側上部と「樹木廓夜雨」の右下の部分が破損しているものの、それぞれの絵は比較的良好な状態といえます。またこれまでに「岩槻古城八景」はさいたま市立博物館所蔵の二点、個人の方の所蔵の三点が知られていましたが、今回の資料はこれまで知られていなかったもので、新しい
発見となりました。
「岩槻古城八景」は、明治一八年(一八八五)、明治維新後、廃城となった岩槻城の姿を再現するため、旧岩槻藩士らによって、描き記されたものです。中国の「瀟湘(しょうしょう)八景」をもとにして描かれた「近江八景」に倣い、城内の景勝地の八景を描いています。
今回公開する「岩槻古城八景」は、右側の屏風に「車橋の晴嵐」、「城口晩鐘」、「二本杉道灌箸立杉」、「船入口帰帆」、「樹木曲夜雨」の五枚、左側の屏風に「高臺の秋月」、「米蔵の落雁」、「鵜首夕照」、「茶屋臺暮雪」、「岩槻城址圖」の五枚が貼られ、計一〇枚となっています。従来の八景に「二本杉道灌箸立杉」と「岩槻城址圖」が加えられたものです。
なお、今回の公開では、市立博物館で所蔵する二点の「岩槻古城八景」や関連する「岩槻古城八景歌集」も展示します。また、最近確認された「岩槻古城八景」の落款にみられる「北淵」の絵画一点も展示していく予定です。展示の詳細については市報等をご覧ください。
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