現在のさいたま市議でもある佐藤征治郎氏は、19年前のさいたま市と合併を決めた当時の岩槻市の市長である。
住民投票を行い、その結果としてさいたま市との合併を選択した。
地下鉄延伸はさいたま市の中でどのように引き継がれたのか等も含めて合併当時の話を伺った。
奥山:合併はさいたま市から働きかけがあったのか、又どのような経過でさいたま市になったのか
佐藤市議:当時は平成の大合併の国策の中で合併の機運が高まっていた。
そこで、①現状の岩槻市のままで、②さいたま市との合併、③春日部市との合併、の三択で住民投票を行ったが結果的に岩槻の有権者は大差でさいたま市との合併を選んだ。
開票結果を受けての市長コメントでは僅差を予想してどちらの結果が出ても対応できるように「現状の岩槻市のまま」の原稿も準備していた位だった。
奥山:住民投票では「地下鉄延伸早期実現」がさいたま市との合併を選択した要因と思うが、合併申し入れの際に明確に書面化できていたのか
佐藤市議:当時の相川さいたま市長は推進派であったので明確な書面化までは考えなかった。
今思うと、さいたま市としては合併後に具体的に進めて行けばいいと考えていたのかもしれない。
地方自治体(県+市)が1/3負担で実施できる都市鉄道等利便増進法(2005年8月施行)がまだ出来ていない時で、当時の岩槻市の財政規模で地下鉄延伸を進めるには無理があった。
奥山:岩槻の合併でさいたま市は400億円以上の合併特例債が使えたと聞いているがその金で地下鉄延伸の資金調達が出来なかったのか。
又は合併時の岩槻市に大きな負債額あってその穴埋め等に使う必要があったのか
佐藤市議:負債があって合併を進めたわけではない。
合併特例債も合併後のさいたま市に入る訳で先に使い道を岩槻市側から約束させるような事はできない。
予算決定などは合併後のさいたま市が決める事で岩槻区になった後は10区の中の1区でしかない。
そのため岩槻の声を届ける役目を担う地元選出の議員の役割が非常に大きい。
奥山:地下鉄延伸はさいたま市全体の将来にとって大事な事業でありインフラ整備になることを岩槻選出の議員が先頭に立って訴える必要があると思うが、今回特別委員会の議事録などを読んでもその熱意や気迫が感じられないのはなぜなのか
佐藤市議:特別委員会は今回の議事録にあるように事務局から上がってきた事案を審議する場であり議決するような場ではないのもあるかと思う。
議事録にある地下7委員会の傍聴をしていたが傍聴人は発言が出来ない。
奥山:その場にいて、委員会の議事録にあるやり取りを聞いていてどう感じましたか
佐藤市議:新聞報道に書いてある通りですね。
昨年の6月定例議会の中で私が市長に地下7延伸計画の進捗状況について質問をした時には「令和5年度中の鉄道事業者への事業実施要請に向け、全力を挙げて着実に取り組みを進める」と答弁したが、明確な進捗状況については明言を避けていた。
いま思えばその時期から今回の断念発表への方向性は分かっていたと思う。
奥山:直前までの議会や地元での前向きな発言と、整合性が取れない今回の清水市長の要請断念の発表の本音はどこにあるのか、来年5月のさいたま市長選に向けても岩槻の有権者はしっかりと見ていく必要があるだろう。
【編集部・奥山】
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