「ココロとカラダの薬箱」 「オンライン社会と中学生」

 思春期の中学生は、学業や友人関係、家庭内の問題などから強い心理的プレッシャーを感じることも多い。
友達に必要以上に気を遣うのもこの世代の特徴である。
しかし、一つ歯車が狂うと友人から「いじめ」にあうことも或る。
苛めと言っても一昔前のいじめとは方法も内容も変化している。
昨今は、SNS(オンライン)での苛めが問題になっている。
 実際に私もSNS(ライン)で被害に遭った中学生の親子の相談と解決に関わったことがある。
クラブ活動の仲間から顔を隠し撮りされ誹謗中傷の文章をLINEで拡散されたのである。
苛めなどと言うものではない。
明らかに犯罪である。
 急を要する。この時は、友人の元児童相談所の所長に連絡し対応を委ねた。
先ずラインの削除、教育委員会、学校への連絡、調整とスムーズに事が運んだことで不登校も短期間で済んだ。
 しかし、解決したから良かったでは済まされない。
小・中学生が簡単に大人の世界に入れる時代である。
 AI(電子頭脳)社会に突入した昨今では、スマホなど電子機器を使えば大人顔負けに何でもできる。
スマホに向かって語り掛ければ瞬時にAIが答えを出してくれる。
知識が無くても勝手にAIが作業を代行してくれる。
それだけに一歩誤れば子どもでも犯罪に手を染める危険性が高い。
 当人たちは罪意識が薄い。面白がってしたことかも知れない。
 しかし、それですまされない事態も起きている。
ゲームによる「課金」である。
近年、ソーシャルゲームが人気を集めているが、知らない間に保護者に多額の借金請求がくるなど、ゲーム課金でのトラブルが起こり社会問題化している。
一概に決めつけることはできないが彼らに共通しているのは、親しい友人がいない。
保護者との関係が悪い。
一所懸命に努力してきたが挫折した。
いずれにしても「寂しい」子どもたちである。
見ず知らずのゲーム相手が唯一無二の友である。
それだけに容易に離れられないのである。
しかし、ゲームの裏側には必ず悪い大人がいることは確かである。
犯罪に巻き込まれる一歩手前にいることも事実である。

【藤野信行(NPO親子ふれあい教育研究所・代表理事)

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