今は通用しない表現と「あの柳橋には情緒があった」と云う言葉から、芸者衆、船宿、川並の風景が浮びます。
今も情緒と云うと不安定と云う精神医学的なものに結びつきますが昭和の忘れものの中に情緒があります。
この「情緒」と云う言葉と構成している単語を順不同で列挙して見ると、季節、光景、感傷、憐憫、謙譲、躊躇、斟酌、羞恥、忍耐、等があります。
これらの言葉により醸成された溢れる感性によって、独自の表現法が或いは心象が形成されるものと考えます。
肌で感じると云う表現は即物的に考えることではありません。
人間らしさの一つに優しさがあります。
優しさは野生動物にもあるようにその仕草から散見されますが、その大半は種を残そうとする本能的なものです。
人間として優しさはそれプラス思考的な優しさ、つまり感性をもったものです。
感性は感受性の豊かさは過ごしてきた体験(読書、思考を含む)や内容の豊かさによって磨かれるものです。
(つづく)【加藤 三郎】
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