挑戦者 鈴区雄大-21

パキスタン遠征登山報告(4)

数日の雨をベースキャンプでやり過ごし、高所順化で先週訪れた岩地帯を再び歩き直して全身キャンプへ。
このパキスタン遠征が始まって約3週間目、やっとのことで本気トライへ漕ぎ着けた。
最初のクライミングは僕が先頭を務める。
美しく、威圧的に聳える岩の屋根を超えていく。
一度腕を岩の隙間に入れてみると、その見た目とは裏腹、汚い砂で覆われ、5200メートルという高所も相まって直ぐに腕の筋肉がパンプし、力が吸い取られてしまいそうになる。
こんな出だしから墜落して怪我でもするのは御免なので、岩に登山ギアを差し込み、絶対に落ちないように、慎重にギアを頼りに超えていった。
そして、このルーフを超えると、全身がギリギリ入るか入らないかといった幅25センチ程度の岩の割れ目が現れる。
鋭い岩肌に、全身を捩じ込んで突っ張るように未知のクラックを登っていく。
中々簡単には進ませてもらえない厳しいワイドクラックが30m続いた。
やっとの思いで岩棚(レッジ)に這い上がると、見上げた先には泥の詰まったコーナークラック。
未踏ルートなので、途中から上手く繋がっているかは分からず、超えられる可能性は10%にも満たないように感じられた。
パートナーの山本さんを引き上げ、二手に分かれたクラックの内、もう一方の左手へ登路を変える。
もうここしか無いので、彼はアックス(釜のような登山道具)を取り出し、綺麗にクラックの中の泥を掃除しながら、岩の隙間に手を捩じ込んで登っていく。

幸い、少ない回数で取り除ける乾いた泥だったので、比較的スムーズに高度を稼げた。

ここが繋がっていなけれぱ大きなタイムロスだったので、本当に助かった。
こうしてハショーピークの下部は未踏なだけに非常にワイルドな登攀を強いられ、想定以上に時間がかかったので、傾斜が強い地帯で視界が真っ暗になってきた。

果たして今晩は、夜を明かす平な地帯を見つけられるのだろうか。

(つづく)

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