季節をめでる「床の間」 2010年4月掲載
百花繚乱の季節が訪れようとしています。地球温暖化が騒がれていますが、論語の中にこのような言葉があります。
「子曰く、人、遠き慮り無ければ、必ず近き憂い有り」。
通訳によれば「孔子が言った。
我々人間において、時間的にも、空間的にも、遠く、広く、しかも深い心配りをしなかったら、必ずや、身近に憂いごとがおこるものである」という意味です。
戦後、復興と近代化に名を借りた無分別な開発が続けられてきました。
そのつけが、日本のみならず世界にも広がっています。孔子の言ったとおりになったような気がします。
生物には不思議な力があります。
その一つが「種」の保存のための抑制力です。
例えば、増えすぎた昆虫がある時、突然少なくなる事があります。
自然がバランスをとっているのです。
しかし、人間が手を加え、害虫駆除を始めてから、よほど広い範囲で昔からの環境が残っているところ以外では、この現象は見られなくなったそうです。
今、里山が見直されています。雑木林があり、様々な動植物が生きていて、落葉の上に雨が降り注ぎ、有機物が小川に流れ込み、他の生物を育む。
これが仏教でいう「輪廻」の容易に繰り返され、自然界が保たれていたことの重大さに気が付いたのです。
勿論、宇宙的規模での思考において、人間も含まれています。
花の話に戻りますが、現在は色や姿の良い園芸種が人々に好まれています。
その交配や新種発表の努力には敬意を払っていますが、昭和初期在日していたイギリスの外交官を夫にもつキャサリン・サンソムの著書「東京に暮らす」(岩波文庫より引用)から、「床の間について。部屋全体を見渡すこの特別な場所の壁には絵が掛けられ、慎重に選ばれた卓や台の上には花瓶が一つ、(中略)先ず季節が考慮されます」とあります。
かつてはどこの家にもあった「床の間」を飾った侘助(わびすけ)のような自然と季節を感じさせる花を、茶道に携わらない方々も、もう一度見直してみては如何でしょうか。
【加藤三郎】
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