昨年の春のことである。見沼区を通る県道65号を車で南下していた。東宮下の交差点を過ぎると左手にさいたま記念病院、右手に団地がある。しばらく進むと交差点の信号が赤になったので止まった。何となく右側を見ると道の奥の方に桜があった。その花の上には塔のようなものが見える。笠の形の屋根、その下には釣り鐘。火の見櫓(やぐら)だ、と思った。信号が変わり走り出す。北浦和の方に向かって走りながら、しばらくして思った。火の見櫓は珍しいし、それが桜の花を突き抜けるように立っている。何と美しい光景だったのだろう。今度写真を撮っておこうと。しかしその後、写真を撮ることはできなかった。ぼんやりとしていたのか、どこの交差点だったか忘れてしまったのである。その日、帰ってから地図を見た。県道65号の東新井の交差点の250メートル程南に御蔵(みくら)火の見下というバス停があった。日を置いてそこまで行ったところ、信号があり右手には見事な一本桜。ところが火の見櫓はなかったのである。周辺を歩いたが見つからない。近所の人に聞くと「昔はあったのですが…」。 しかも県道を挟んで西に桜、火の見のあったという空地は東側だった。位置が違うのだ。東新井の交差点から、西の大宮駅へ向かう通りを行って坂を下りると左手に海老沼小学校があり、そのすぐ近くに火の見があった。方角は合っているが、台地の上を走る65号からは見えない。遠くの新都心のとりわけ高い塔を火の見櫓と見誤ったのだろうか。後に探す過程で火の見櫓が複数残っていることが分かった。桜と幻の火の見櫓、3月には写真を撮って次号で紹介したい。(第36回)
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