今回取り上げるのは藤です。日本では古くから、フジを女性に、マツを男性にたとえ、これらを近くに植える習慣があったそうです。日本画や古典文学ではしばしば藤と松がセットで登場します。下村観山の屏風絵『老松白藤』は精緻な描写が見事です。『枕草子』では「めでたきもの」として「色合ひ深く、花房長く咲きたる藤の花、松にかかりたる」と語られています。男性にしなだれかかる女性の姿が目に浮かんでくるようです。ただ、見方を変えると男性である松に強く巻きつく藤の姿は、一度くっついたら二度と離れない。ともすれば執念ともとれる、強い愛情や情念をも象徴します。花言葉は「可憐」「恋に酔う」「あなたを歓迎します」「懐かしい思い出」や「君の愛に酔う」です。また「決して離れない」という言葉もあります。また、「佐藤さん」「加藤さん」「伊藤さん」「斉藤さん」などなど、日本人に多い苗字には不思議と「藤」の字が多く付いています。じつはこれは、平安時代に栄華を極めた藤原氏の影響なのです。藤原氏の一族は全国にひろがり、加賀の国の藤原氏は加藤、伊勢の国の藤原氏は伊藤、と地盤となった国の名を取って家名を変えていきました。明治になって苗字が義務づけられるようになると、名門・藤原氏にあやかろうと、ゆかりの無い人々も「藤」の字が入った苗字を名乗るようになったのです。色の中には藤の名前が付いた色があります。藤の花の色は淡い紫色で、「藤色」もここからついたようです。深い愛と執着は紙一重。みなさんにはどちらの意味に見えるでしょうか。【さかい】
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