『台風のおとしもの』第5話(せやざきやすこ)

(ポテチが大好きな台風の芽、気温が上がって、おおあばれ! おかあさんは、冷蔵庫にいれちゃう? といいますが、さやちゃんとたっちゃんは、大反対!)

「うーん……それなら、もといたところに、かえそうか」おとうさんが いいました。
 おかあさんが、はっぽうスチロールの箱に“ほれいざい”をたくさんいれました。
 さやちゃんは、その中に、台風の芽をいれました。
 ちかくの海岸へいくと、さやちゃんが、そうっとふたをあけました。
 台風の芽は、ふわっとうきあがると、しばらく四人のまわりをまわってから、ひゅるるーんといって、南の海のむこうにきえていきました。

 たっちゃんが、さびしそうにいいました。
「あの子、ぼくたちのこと、わすれちゃうかな」
「きっと、わすれないさ」おとうさんが、いいました。
「ポテチ、気にいってたよね」さやちゃんが、いいました。
「海のしおあじと にてたから かもね」と、おかあさん。
 四人は、しばらく南の空を見あげていました。

 それから数週間たった日の よる。
 雨が ザアザア、まどは ガタガタ。
 さやちゃんと たっちゃんはベッドのなかで ふるえていました。
 大きな台風が、さやちゃんたちの町に まっすぐ むかってきたのです。


「もしかして、あの台風かな」さやちゃんが いいました。
「ぼくたちのことを おぼえてて、またポテチ たべに きたんじゃない?」
 たっちゃんが いいました。
「おうち、こわれたら どうしよう」と、さやちゃん。
「こっちに きてくれなくて いいよぉー」と、たっちゃん。
 ふたりは ふとんを にぎりしめたまま、どうすることも できません。
 ザアザアザア、ガタガタガタ……音が ますます 大きくなって きました。
 そのとき、ひゅるるん……ひゅるるん……という音が きこえたような……
 ふたりはいつのまにか、ねむってしまいました。

〜つづく〜

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

無料イラスト素材【イラストAC】

アーカイブ

お勧め記事

  1. AIに 聞いて答える 癖がつき 堀江 恵 飽きもせず スマホに夢中 世界中 岩井 るり 雲海…
  2. たちまちに 荒野となりたる 畑には 勝者のごとく 野薊の満つ 内池 リヱ 帯広…
  3. イベント情報
    「児玉南柯・遷喬館に待つある100の宝物~児玉南柯生誕280年~」 関連講座 【内 容】 「児玉南…
  4. 【日 時】11月3日(火・祝)       11:00 ~ 【会 場】鹿室1466 付近の畑  …
ページ上部へ戻る