岩槻郷土資料館 だより⑭ 嘉永6年から現代へ 「時の鐘棟札」

「時の鐘」は、岩槻区本町六丁目の渋江口にあり、城下に時を告げていたものです。
寛文11(1671)年、岩槻藩主阿部正春によって設置されました。
現在の鐘は音響が不調になったため享保5(1720)年に同藩主永井直陳が改鋳させたものです。
今回紹介する「時の鐘棟札」は、嘉永6(1853)年に、「時の鐘」鐘楼を修理した際に書かれたものです。
縦58・3㎝、上幅19㎝、下幅19・8㎝、厚さ0・8㎝の上端が山形ををした板状のものです。
上部に2カ所、釘の痕跡があり、鐘楼の梁や棟木などに打ち付けられていたものと思われます。
棟札の上部に修理が行われた「嘉永六年癸丑年」の年号が記され、その下部に2段にわたり、修理にかかわった人々12人の名前がみられます。
このうち普請方の野田五助の名前は『岩槻誌』所収の「岩槻家中分限帳」(年次不詳)の中に見ることができます。
また場所出役の染谷庄五郎は「士族禄高取調帳」(埼玉資料室移籍文書・明治4年)の中に名前がみられます。
時の鐘は、以前にも紹介したように大正12年の関東大震災の際に鐘楼部分が被害を受け、改修を行ったといわれ、現在岩槻郷土資料館で展示している「露盤」と「宝珠」はその際のものと考えられています。
瓦の中には摩滅の具合などからそれ以前にさかのぼるものもあったようで、こうした瓦はこの棟札をが書かれた嘉永6年の改修の際のものの可能性があります。

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