あなたは「外国人はみな英語を話す」と思っていませんか?聖心女子大学が2010年に行った調査では「国内に住む外国人で英語を話す人」は44%、「日本語を話す人」は62・6%でした。日本国内で外国人と接するときに「日本語で話す」ということは、立派な選択肢の一つなのです。また、1995年の阪神淡路大震災では、日本人住民に比べ外国人住民の死亡率は約2倍、負傷率は2・4倍でした。命にかかわる災害情報が、外国人にはうまく伝わらなかったからだと言われています。どのような言語で情報を伝えたらいいのか?社会言語学を専門とする弘前大学佐藤和之研究室が調査したところ、英語でも中国語でもなく、簡単な日本語が一番通じたということがわかりました。その後、佐藤教授が研究を進め「やさしい日本語」として提唱したのが、「やさしい日本語」の始まりです。例えば、地震で電車が止まってしまった場合、駅では「××線は不通です」という放送が流れます。これを少し日本語がわかる外国人は、「××線は普通です」と理解してしまい、「電車は普通に走っている」と思ってしまうのです。「××線は止まっています」と言い換えたほうが伝わります。「不通」のような難しい言葉は避け、簡単な言葉を使う。文を短くし、本当に伝えたいことだけをシンプルに短く言うというのが「やさしい日本語」の基本です。例として「高台に避難してください」ではなく、「高(たか)い場所(ばしょ)へ 逃(に)げてください」と、フリガナを振ったり、単語の間にスペースを置くことも大切です。「やさしい日本語」は、ふつうの日本語より簡単で、分かりやすい言葉に変換されていることから、小さな子どもや高齢者、障害を持った人などにも有効な情報伝達手段だと考えられています。また、「シンプルに短く言う」という基本は、英語の学習にも役立ちます。複雑な日本語の構造のまま英語に翻訳しようとすることが、日本人が英会話ができない理由の一つとされています。最近はスマホなどのAI翻訳も進んでいますので、「やさしい日本語」からAI翻訳の助けを借りて、英会話を楽しむという応用もできます。2020年9月には、順天堂大学医学部が医学生に対して日本で初めて「やさしい日本語」の実習を行いました。「やさしい日本語」には「優しい」と「易しい」の2つの意味が込められています。この入門書はさいたま市図書館にもあります。公務員の方はもちろん、医療や教育、接客業に従事している方にもおすすめの1冊です。【さいたま市防災アドバイザー・加倉井誠】
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