岩槻郷土資料館だより㉕ 「収蔵品展遷喬館旧蔵の典籍類」の中から

現在、岩槻郷土資料館では、「収蔵品展遷喬館旧蔵の典籍類」と題し、遷喬館に由来する典籍類を2019年7月7日(日)まで、展示しています。
今回は、この中に展示している資料を紹介していきます。
展示した資料の一つに「史記評林」があります。
これは、中国前漢の司馬遷によって、伝説上の天子黄帝から漢の武帝までを編年体で著した歴史書「史記」を、明の凌稚隆が、註釈を加えた註釈書です。
一三〇巻を五〇冊にまとめ、明の萬暦年間(一五七三~一六二〇)に刊行されました。
展示した資料は、江戸時代後期の天明八年(一七八八)に日本で出版されたものです。
この「史記評林」には「松浦伯爵家蔵書」印が押印されたものがあることから、もとは長崎県平戸藩主であった松浦伯爵家の蔵書が、遷喬館にもたらされたことが分かります。
また、中には「明治○年聴講」と付箋が貼られ、一部に「厚」の印が押されたものがあり、後に松浦家当主となる「松浦厚」氏が明治一二年から一三年にかけてこれらを聴講したことも分かります。
「松浦厚」氏は元治元年(一八六四)生まれであることから、一六~一七歳頃のことで、このおよそ五年後の明治一七年(一八八四)には英国ケンブリッジ大学に留学し、国際公法を学んだようです。
帰国後は貴族院議員を務め、旧藩内の殖産興業に力を入れたといわれています。
この資料が遷喬館にもたらされた経緯は分かりませんが、その出自の分かる貴重な資料といえるでしょう。
この他にも、多くの典籍を展示していますので、資料館におこしいただき、ご覧いただきたいと思っています。

岩槻 歴史資料 「史記評林」

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