色の世界 「春を思わせる桜色」

冬の厳しさが日々、やわらいできましたね。
春も近づいてきたこの頃、今回は「桜色」をとりあげます。

桜色とは桜の花びらに連想される赤みを含んだ淡い紅色のことです。
紅染の中で、もっとも淡い色。ほんのり酔った女性の顔や皮膚が赤みをおびた様子にも使われることで知られます。
現在では桜の色というとソメイヨシノの花の色がイメージされるでしょうか。

色名の桜色は平安時代より一般に使われていますが、初出は『古今和歌集』の「桜色に衣は深く染めて着む 花の散りなむ後の形見に」です。
ただし、もともとは色名のことではなく「桜の色に」と言うべきところを省略して表記したものでしょう。

桜色ができた頃は、桜というと山桜のことでした。
『桜色』も山桜の花の色に由来しています。
重かさねの色目としては、実物の花色に近く「表・白、裏・赤花」で、赤みをおびた若葉に淡い紅の桜花を表しています。
ちなみに、英語の桜色を意味する「チェリー」は、さくらんぼの果皮の色に由来する濃い赤色であり、桜色とは別の色です。

「精神美」「純潔」「優美な女性」「心の美」「しとやか」など、桜の花言葉は、なるほどと思わせてくれるものばかり。
日本という国の歴史の長さや文化の深さを感じさせてくれます。
満開の美しさ、華々しく春の訪れを告げ、潔く散りゆくさまを、日本人は愛してきました。
桜の花に感じ入る時、その感覚は古来より受け継がれた日本人の感性の表れなのですね。
【金色野原】

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