2月は、日暮れと共に星空が頭上から南東の空に広がり、夜半過ぎには西に傾くまで楽しめます。1等星を結んでできる「冬のダイヤモンド」や「冬の大三角」が見られる空は、1年中でもっとも美しい印象を抱く人も多いのではないでしょうか。南の水平線の少し上に、老人星(カノープス)が3時間だけ姿を見せます。南国や南半球では、大星(シリウス)に次ぐ明るさで輝く1等星で、昔から縁起がよいとされてきました。東の空には、春の星座も姿を見せ始めます。それがしし座の頭部、獅子の大鎌です。「雨どいをかける金具」に見立てて「といかけ星」と呼ばれています。寒い日々が続きますが、「といかけ星」が見えるようになってきたら、春も近いですね。星は動いていきますが、北極星だけは真北の空でほぼ動きません。北の星々でも特に、北斗七星やカシオペヤ座より北極星に近い星々は沈まず、どこかに輝いています。古代中国では、沈まぬ星々は高貴な星と考えられていました。古代の星空は今とはずれていますが、北の空の中心近くで輝く星はもっとも高貴な「天帝」の星とされました。同じ中緯度にある日本にも、飛鳥時代に伝わり、明治まで朝廷の陰陽寮の天文博士たちの星の見方でした。エジプトでも、同じように星空を見ていて、古代エジプトの人々は、沈まぬ北の空の星々を神殿の天井に掲げ、「滅ばぬ星々」と呼んでいたそうです。国は違えどイメージは共通するものがありそうですね。場所は違っても、頭上の空はいつも一つに繋がっているのですね。【さかい】
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