2回に分けて「ADHD」(※編集部注:注意欠陥・多動性障害)と言われるお子さん(仮に小学生の男の子)の気持ち、母親の気持ちになって考えてみましょう。自分では「やってはいけない」とわかっていても、どうしても「やってしまう」のがADHDの特徴です。幼児期からずっと、あれもダメこれもダメと言われ続けてきた。しかし、どうすれば良いかがわからない。本当に困っているのです。母親はどうでしょうか。やはり困っています。この「困る」が鍵です。なぜならば、子供と親とでは困り具合が異なるからです。教師の困り具合も母親とは異なります。立場によって「困り具合」が異なることを知ってください。そして、皆それぞれに苦しんでいます。次に各々の困り具合について触れてみます。母親の立場で考えてみましょう。母親からすれば、手のかかる子ども、育てにくい子どもです。我が子でありながら、よく分からないから尚更辛く苦しい。大半の子どもは、症状が幾つか重なるのが普通です。「お子さんは自閉症です。アスペルガーですね。それからADHDで、それから…」判りました。それで、うちの子はどうなるのですか。治るのですか。治らないのですか。治療法はあるのですか。「そうですね。治療と教育、これが基本です。しばらく様子を見ましょう」これも現実です。次に子どもの困り具合です。子どもからすると、周囲の状況が掴めない。誤解されやすい。トラブルに巻き込まれやすい。生きづらい。一番困っているのは、本当に辛いのは子ども自身です。いじめにあうこともあるでしょう。「不登校」「ひきこもり」の子どもの中に、発達障害が多いのも事実です。次回は、問題解決の方法もさることながら、発達障害の子どもを少しでも楽にさせるには如何にすべきかについてお話しします。【NPO法人親子ふれあい教育研究所 代表・藤野信行(元大学教授・心理学)】
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