最近、心理学に関心が集まっているようです。
どうも25年周期で心理学ブームが起きています。私がまだ学生だった、1970年代も心理学ブームでした。
授業料値上げ反対、日米安保反対と学生運動が激しかった時代です。それから25年後、2000年代初頭は長引く経済不況のために中高齢者のリストラ、若者の就職難が続きました。
さらに25年後の現在です。
地球規模の環境異変。半世紀ぶりの円安と物価高、そして、経済格差と貧困問題など昔にタイムスリップした感があります。
確かに社会が混とんとした時代になると、心理学ブームが起きるようです。
今から24年前の2000年に一般書としてはじめて出したのが『ボランティアのための福祉心理学(NHK出版)』です。
専門書ではない。ネーミングが固いと編集者から言われたことを思い出しました。
その中でEQ(こころの知能指数)についてふれています。
私たちはIQ(知能指数)についてはよく知っている。
バブル経済華やかな時代には、幼児を対象に「IQ」を高めるための英才教育が盛んでした。
IQが高いことが優秀とされてきたからなおさらです。
しかし、EQとなると勝手が違う。EQはゴールマンが提唱した「思いやり・協力・調和」のことで「こころの知能指数」と呼ばれている。
IQは頭の知能指数、EQはこころの知能指数というわけです。このブームが25年前に起きました。
その背景には、幼児や老人への虐待、学校におけるいじめや多発する凶悪犯罪など、従来の日本では考えられない深刻な事態が生じていました。
世界でも類を見ない凶悪犯罪「オウムのサリン事件」がこの時代に起きました。
サリンを起こした当事者は、医師や弁護士を始め多くが高学歴者であったことから学歴偏重に警鐘が鳴らされた。そこで先ほどから申し上げている「EQ」への関心が一気に高まったわけです。
なんとなく現在の世相に似ていませんか。この続きは次号とします。
【NPO親子ふれあい教育研究所・代表 藤野信行(元大学教授)】
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