第47稿 続・認知症 (2)

 認知機能が低下してきている人と関わっていくことの難しさは、やはり記憶の低下があるということです。
昔からの知り合いはともかく支援が必要となってから関わりだした場合には、まず覚えていただけません。
社交性が健康であることが多いので、社交辞令的に話を合わせてくれることはありますが、名前や顔を覚えるのはかなり難しいことです。
その場での判断力は健康ですから、メモをわかるところに貼っておくとそれを読んで理解はしてくれます。
例えば、調子が悪くなったらここへ電話かけると、書いて番号を書いておけば電話をかけることはできたりします。

 記憶の欠落している部分を、自分の価値観の中で納得できる理由で埋めていくということもあるので、この時期物盗られ妄想を持つ人が多いです。
お財布など大事なものが無くなった(大抵は大事なのでと、どこかにしまい込み忘れているだけ)、この間、〇〇さんが来ただけだから、あの人が盗ったに違いない、と考えてしまう。
ご夫婦での生活の場合などは、旦那とヘルパーが浮気をしていると思い込む嫉妬妄想をもつこともあります。
自分が認知症で、忘れたり出来なくなっていることがあるから、ヘルパーを利用しているのだということを忘れてしまうため、自分としてつじつまのあう物語を作ってしまうのですね。
そしてこの時期、まだ健康で正常な部分がほとんどですから、たまに会う親せきや遠くに住むご友人などは、異変に気付かない事も。
そのため、物盗られの話を聞いたりすると、信じて本人の側に立ち、支援者や介護者を責めるというトラブルが発生することもあります。
これも、認知症であるということを、恥ずかしいことと思い隠したり、知らせなかったりという人が多いからかとも思います。
誰でも加齢すれば、似たような状態になるはずなので、もっとオープンに社会全体で支えるという雰囲気が作られていれば、避けられるトラブルなのではないかと思ったりします。

 私は絶対病気じゃない。
ご飯を食べたかどうかくらいわかる!
 ごみ捨てだって、受診だって、一人でできる! 
ご本人はそうおっしゃいます。
けれども、実際には、今日が何曜日か忘れてしまっているし、ごみは指定日に出せず、受診予約日も忘れてしまって行けず、が繰り返されます。
そのうち、「病院に行くから病気がみつかるんだ、私は行かない!」と、行かない理由を述べたりして、正当化をはかります。
自尊心が健康だからです。
支援する側としては、彼らの尊厳を守りながらも、必要な支援をしていくには、どのように関わっていくのがよいのか、大変難しい課題です。
(次回につづく)

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