時の過ぎ行くまゝに ② 観光づくりは「夢づくり」

 講談や落語にだけその姿をうかがえますが、暮れからお正月にかけて〔厄払い〕とか〔お宝うり〕とかで宝船の絵を売る商売がありました。
七福神の乗った宝船の絵と「ながきよのとをのねふりのみなめさめなみのりふえのをとのよきかな」という回文の歌を刷った紙を二日の夜、枕の下にいれて練ると良い初夢が見られる、と言われていました。

 昔の人々は「夢」を作ることに努力していました。
まちづくりには賑わいづくりが第一歩で、その手段として他の地域からの観光客の誘致を考えます。
観光づくりはある意味で「ゆめづくり」です。
一時期、流行ったテーマパークを作ってお客様をお呼びする方策は、一部を除いて失敗に終わりました。

 その理由は先ず初期投資が膨大にかかり、さらに管理費、維持費が継続的に掛かることです。
オープン当時は物珍しさと話題性で客足を集めましたが時間の経過にともない陳腐化するとテーマが決まっているだけに開園時に作られた建造物を大幅に変える訳にもいかないので、比較的費用の少なくて済むイベントで誘客を計ることになりますが、これとても他所でやっているものと類似してしまい差別化が難しいのが現状です。

 他方今ある街並みを生かして其処にストーリー性を加えて、大正レトロとか昭和の街と言うようにして、本で読んだことのある空間へタイム・スリップするような企画をたててお客様の誘致に成功したところもあります。

 観光ガイドをやっていていつも感じることですが、お客様に上から物を言っているガイドの多いことです。
自分の知識を披露して説明している時、先生が生徒に話している口調や態度になってしまうのです。
すると聞いている人が「俺は歴史の勉強に来たんじゃないぜ」と言い出すことにもなりかねません。

 皆、仲間で今日一日楽しくやりましょうという雰囲気をつくって、自分の説明が相手に乾いたスポンジに水が吸い込むように自然に抵抗なく受け入れられるにはどうしたら良いのかを考えてお話しなくてはなりません。
そうすることにより、又あのガイドさんに頼もうかということになり、お客様を大勢のせた宝船がやってくることに繋がります。

【加藤 三郎】

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